2018年6月25日(月)

[FT]抗議のメキシコ市民、米側への入境拒否の波紋

FT
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2017/2/10 14:50
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Financial Times

 今週日曜、メキシコのティフアナで、数千人ものメキシコ人が普段とは異なる行動を取った。家から出なかったのだ。

 貧しい国境の町での生活は「国境線」を中心に回る。国境線の片側に住む多くの人々は、学校や職場、買い物に行くために毎日国境を越える。約1500マイル南にある、時差もあるメキシコシティの市民というより、自分たちを米国と一体のように感じている。

 ところが、ソーシャルメディアの「ハッシュタグ(#)メキシコの数時間」を見て集まった抗議者らは、2月5日の午前8時から午後3時までの間、国境を越えなかった。トランプ米大統領が移民の入国を制限し、メキシコを口汚く非難したことに対する抗議だ。

 目的は単純明快だった。自分たちの不在を通して米国に対し、メキシコ人の存在感を知らしめることだ。これは、2004年の低予算映画「ア・デイ・ウィズァウト・ア・メキシカン(メキシコ人が一人もいない1日)」の概念そのものだ。カリフォルニアからどういうわけか全てのメキシコ人が消え、社会機能が突如機能しなくなるという話だ。国歌の歌い出しにある「ときの声を上げるメキシコ人」の代わりに、ティフアナのデモの主催者はこれを「ときの声を上げる消費者」と呼んだ。

 先月のトランプ氏の大統領就任以降の多くの反トランプデモと同様に、この抗議活動も非常に象徴的だ。だが、これはトランプ氏が国境に壁を築き、国境封鎖でメキシコに与えた「特権」に対する経費をメキシコに請求して、「悪い輩(やから)」や不法移民を国外退去させると公約したことに対し、(メキシコ・米国を隔てる)リオ・グランデ川の南側の人々が心から嫌悪感を感じていることを浮き彫りにした。

 おそらく、メキシコ人が感情をむき出しにする最も一般的な方法は、ソーシャルメディアのプロフィルの自分の写真を緑と白と赤のメキシコ国旗に差し替えることだった。

 だが、これまで長い間、尊敬の念を抱いてきた米国への感情は、混乱と当惑とあからさまな落胆にとってかわった。米国はもはや自由世界への希望の光ではなく、メキシコの裏庭の独裁国家のようになった。

 だが、メキシコで最大手の小売企業、米ウォルマートやコーヒーチェーン大手の米スターバックスに対するボイコットの話は、誇り高き愛国主義を掲げながらも同時に、ありとあらゆる米国製品の大ファンであるメキシコでは、ほぼ不発に終わった。メキシコ人は要するにコカ・コーラなしでは生きていけないのだ。メキシコは米コカ・コーラの一大市場だ。また、タコスやタマレといった名物メキシコ料理とならんで、様々な米国のドーナツもメキシコ人の好物となっている。

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