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国内医薬品販売、オプジーボが首位 16年10~12月

米系医薬コンサルティング企業クインタイルズIMS日本法人のアイ・エム・エス・ジャパンは9日、2016年10~12月の医療用医薬品の国内売上高(薬価ベース)ランキングを公表した。がん免疫薬の「オプジーボ」がC型肝炎治療薬の「ハーボニー」を抜き、四半期ベースで初の首位に立った。ハーボニーは処方が一巡し、前年同期比で7割の減収となった。

首位のオプジーボは適正使用マニュアルが策定されるなど、処方環境が整った。昨年8月に腎がん、12月にはホジキンリンパ腫が適応に加わり、投与できる対象患者数の増加も後押しした。

オプジーボに抜かれ2位になったハーボニーは、昨年1~3月の売上高1516億円をピークに、販売は急減している。同7~9月には448億円まで販売が減少したが、同10~12月はさらに297億円まで落ち込んだ。ピーク時の2割弱の水準となり、処方減に歯止めがかかっていない。

通院中のC型肝炎患者に新薬がほぼ行き渡ったうえ、他社からライバル薬が発売されたことも影響しているようだ。

3位の抗がん剤「アバスチン」は適応疾患が多く、処方は安定している。16年4月の薬価改定で薬価は約11%引き下げられたが、処方数量の伸びで一部を相殺。売上高は前年同期比5.7%減となった。

4位の抗潰瘍薬「ネキシウム」や7位の高血圧治療薬「オルメテック」、9位の同「ミカルディス」は、類似薬で既に後発品が登場しているが上位に入った。

ネキシウムとオルメテックは第一三共が、ミカルディスはアステラス製薬が販売。割安な後発薬がシェアを伸ばすなか、販売企業の営業力の強さがランキングに反映された格好だ。10位には抗血栓薬の「イグザレルト」が初めて入った。

16年通年の国内医薬品市場は、前年比0.3%増の10兆6200億円だった。首位ハーボニーの売上高は2960億円と、2位アバスチン(売上高1136億円)に大差を付けた。

製薬各社別の売上高(販社レベル)は1位が武田薬品工業。2位の第一三共は15年から順位を1つあげ、かわってアステラスが15年の2位から3位へと順位を下げた。

17年はがん免疫薬の販売動向が焦点になる。オプジーボは2月から薬価が半額に下がり、処方が増加しても、そのまま増収に直結するわけではなくなった。

ライバル薬の「キイトルーダ」は今月発売されるが、肺がん向け処方は患者の事前検査が必要になるため、当面は対象患者が限られそうだ。

16年10~12月に首位を明け渡したハーボニーは、さらに販売が落ち込む見通し。今後は未受診の患者をどこまで掘り起こせるかがポイントとなる。

(企業報道部 野村和博)

[日経産業新聞 2月10日付]

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