サウスポーの視点(山本昌)

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不合理なキャンプの醍醐味と手抜きのすすめ

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2017/2/12 6:30
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2月はじめからキャンプの取材で沖縄、宮崎を回ってきた。キャンプは希望に満ちている。前年の成績がどうであれ「今年は違うぞ」と前向きになれる。私の古巣で昨季は最下位に終わった中日も森繁和新監督の下、明るく元気に厳しい練習をこなしていた。

投球練習する柳(手前)ら。古巣の中日では明るく練習をこなしていた=共同

投球練習する柳(手前)ら。古巣の中日では明るく練習をこなしていた=共同

重箱の隅をつつく練習で、土台を築く

ドラフト1位の柳裕也は安定感がある。200イニング近くを投げて2桁勝ってくれるかもしれない。打線の中軸を担うであろうアレックス・ゲレーロも無駄な動作の少ないフォームで、マット・マートン(元阪神)のような確実性とパワーを兼ね備えた雰囲気がある。新戦力は当てにしないことにしている私でも、つい期待したくなってしまうのがキャンプというものだ。

キャンプは何のためにあるのか、と思う人がいるかもしれない。交通費や宿泊費をかけてわざわざ皆で遠くまで出かけなくても、ナゴヤドームで十分ではないか、と。ドームの設備は申し分ないし、暖房も利いている。家からも通え、億単位の経費も節約できる。確かにその通り。合理化を突き詰めていくと「キャンプはやらない」という選択肢もあるのかもしれない。しかし、現実には全球団がキャンプを張っている。それは単なる惰性や慣例ではなくて、キャンプにはやはりそれなりの意義があるからだろう。

私はキャンプの目的は「隙間を埋めること」だと考えている。年に1度あるかないかというプレーの反復練習や、細かなフットワークの鍛錬など、投げる、打つといった主要科目では行き届かない重箱の隅までしっかりとさらっておくことが長丁場を戦う土台となる。

「キャンプの合理化」には違和感がある。野球漬けの日々でシーズンを戦う土台がつくられる

「キャンプの合理化」には違和感がある。野球漬けの日々でシーズンを戦う土台がつくられる

都会から離れた缶詰め生活に意味がある

こうした練習は面倒くさく、しんどいうえに、試合の中ですぐに役に立つとは限らないから、シーズンに入るとやらなくなる。けれどもキャンプは最適だ。何しろ都会から離れての缶詰め生活だ。中日の場合、休みは週に1度だけ。毎日少なくとも6時間、長ければ9時間もグラウンドにいるとなれば、野球以外にやることはない。こうした時間を共有することで、チームに「同じ釜の飯を食った」という一体感も生まれてくる。私のように32年間もやっていると、キャンプ地に行くと体が自然に「もうこの季節か」と思い出し、目覚めていく感覚があった。

隙間を埋めて体を仕上げると同時に、ハードな毎日をうまく乗り切ることも考えなくてはいけない。特に気を付けてほしいのがルーキーだ。

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