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米の入国規制「支持しない」7割

第308回解説 編集委員 木村恭子

トランプ米大統領が難民や中東など7カ国の人の入国を一時的に禁止することなどを命じた大統領令について、電子版の読者にお聞きしたところ「支持しない」との答えが71%を占めました。

また、こうした入国制限措置が米国をテロリストから守ることにはつながらないと考える読者も72%に上りました。

 ◇

今回の入国制限措置を支持しない読者は、入国審査の厳格化には理解を示す向きもありますが、特定の国の人全体を対象にしていることに「乱暴さ」を感じています。

「難民や移民を無制限に受け入れるべきという論には賛成できないが、人種や出生国、国籍による包括的な入国制限は乱暴であると思う」(67歳、男性)

「新規ビザ(査証)発給の審査を厳しくするまでは理解するが、すでにビザを所持している人に影響が及ぶやり方は拙速で強引。実際に国際会議などに影響が出て迷惑している」(41歳、男性)

「テロ懸念があるのは一部の人間であり、その国の国民すべてを対象にすべきではない。大統領令にて進めるような緊急の措置が必要だったのか?」(33歳、男性)

大統領令を発動する緊急性に関しては、ケリー米国土安全保障長官が7日、下院の国土安全保障委員会で証言し「(入国制限措置を)議会に説明できるよう実施を少し遅らせるべきだった」などと述べ、拙速感が否めないことを認めています。

また、読者の一部は、一時入国禁止の対象となった7カ国(イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン)を選択した判断基準に疑問を抱いています。

「『一部の国』をどういう基準で選んだのか。あきらかに偏っているように思える。国策というより、個人の感情で、特定の国・人種を排斥しようとしているだけのようだ」(56歳、女性)

「米国の経済に影響しない国だけを選んで入国制限することに自己中心的政策を感じる。入国制限にアラブ首長国連邦(UAE)も含まれているのなら本気度がわかる」(49歳、男性)

確かに、今回の大統領令では「テロ対策」を挙げながら、例えば過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロ事件が続発しているトルコが対象国に含まれていません。

これについては、トルコのイスタンブールに「トランプタワー」が立っており、トランプ大統領とビジネス上で深い関係にあることから対象から外したとの見方があります。

また、UAEのドバイにもトランプ大統領はゴルフコースなどを所有。イスラム教徒が多いエジプトやインドネシアにも複数の関連会社があり、上記の読者からの指摘も的を射ている面があるといえるでしょう。

 そもそも今回の大統領令は米国の建国精神になじまないと考える読者も少なくありません。

回答者の内訳
回答総数1868
男性91%
女性9%
20代以下4%
30代8%
40代15%
50代25%
60代31%
70代15%
80代以上2%

「アメリカ合衆国はそもそも『自由』という理念を掲げ、それの持つリスクも抱えながら発展してきた国である。彼が『アメリカ第一』を主張するのであれば『自由』という理念や哲学を順守しなくてはならないはずだ」(56歳、女性)

中には、先の大戦を思い出す読者も。

「米国は移民で成り立っている国であり、今回の措置は第2次大戦の日系人の強制収容にも通じる人種差別的な方向の恐れを感じてしまう」(64歳、男性)

一方、入国制限措置を「支持する」(29.0%)と答えた読者の中には「日本は難民受け入れをしていないし、批判はできない」(70歳、男性)とのスタンスの方が少なくありませんでしたが、実際の経験をもとに、テロ対策としての有効性を意識したコメントも寄せられました。

「マニラ、ニューヨーク、ロンドンでイスラム過激派ゲリラに間近でテロ爆破の被害にあってきた経験から、過激なテロを少しでも起こす危険因子の入国制限措置を支持する」(63歳、男性)

さらに、ある読者(49歳、男性)は「逆説的な意味」とした上で、「これまで世界で最も優秀な人材は米国が集めてきました。しかし、この政策でその人材の一部は他国へ行くことになります。日本にとってはチャンスです」と、閉鎖的な立場をとる米国からの人材流入に期待する声もありました。

 ◇

今回の大統領令が"Protecting the Nation from Foreign Terrorist Entry into the United States"(外国のテロリストが米国に入ることから国を守る)ためであるものの、実際にはテロリストから米国を守ることにつながるとは思わないとする読者からのコメントの中には、テロの懸念がある7カ国の一般市民に対するビザ発給を90日間停止した措置自体を根本から否定したものが散見されました。

「テロリストは正規のビザを取得して入国などはしないと思います」(58歳、男性)

「制限のない国のパスポートを入手することにより、テロリストは入国してくる」(61歳、男性)

むしろ、米国内での銃規制を優先的に行うべきだと考える読者も。

「難民等の入国制限措置を行うより米国内での銃規制措置を行った方がテロ対策で効果がある」(31歳、男性)

「本当にテロ対策をしたいのなら、銃規制をすべきだ。移民・難民は少ないかもしれないが、入出国の自由がある日本でテロが起きないという現実を、米国民は直視すべき」(36歳、男性)

また、最近米国で起きた大規模テロの多くは、米国育ちの移民2世が起こしていることにも関連し、「格差の拡がりが終息するような富の再分配がなされない限り若者のテロへの志向は収まらない」(63歳、男性)として、格差を是正するといった抜本的な施策を行う必要性を訴えるコメントもありました。

 「憎しみは憎しみを生むだけ」とも言いますが、「措置によって、入国は制限できるが、対象国の反感は必ず高まり、かえってテロへの思想を高めることにつながると考えられるから」(18歳、男性)と考える読者も。

米国の人気歌手、レディー・ガガさんが大統領選中に"Love trumps hate."(愛は憎悪に勝つ)と主張していたことを思い出しました。

一方、大統領令がテロ対策につながると考える読者(28.0%)の多くは、限定的ではあるものの効果があるとの立場です。

「ベストではないかもしれないが、入国審査基準を強化するまでの時限措置としてはベターかと思います」(32歳、男性)

「完璧とは言えないまでも、一定の効果は期待できるはず。野放しにしておくよりよほどマシである」(55歳、男性)

 ◇

今回の調査(4~7日)にご協力いただいた読者の皆さんによる安倍内閣の支持率は63.5%となり、前回調査の65.3%よりも1.8ポイント下落しました。

安倍内閣を「支持する」と答えた読者からは、都政に関して、安倍政権と自民党、特に東京都連との連携強化を期待する声がありました。

「都民ファーストを唱える都知事が真に都民の利益にかなう知事か否か、極めて懐疑的。都政においても、安倍内閣と連携がとれる自民党にもっと頑張ってもらいたい」(53歳、男性)

また、10日に行われる予定のトランプ大統領との会談に対する要望も寄せられました。

「トランプ大統領との会談で、軍事面では米国との同盟関係の強化を図り、経済面では日本の国益を最大限守るべく交渉に当たっていただきたい」(68歳、男性)

日米首脳会談に関しては、「支持しない」と答えた米国在住の読者(36歳、女性)からも「恥ずかしながら日本の政治の状況は不勉強である。日本の存在感が強くなったとまるっきり感じられないことから、支持しないに一票を投じる」との声があったことも付記します。

9日の日本経済新聞朝刊「視点・焦点」面では、トランプ大統領による入国制限政策に関する特集を組んでいます。併せてお読みください。

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