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サントリー2冠、原動力は状況を打開する意思

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2017/2/7 6:30
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国内のラグビーシーズンが終わった。4年ぶり優勝のトップリーグと日本選手権の2冠に輝いたサントリーを中心に、今季を振り返ってみたい。

パナソニックを15-10で破った1月29日の日本選手権決勝。今年のサントリーを象徴する場面が随所に見られた。ボールがタッチラインを割るなどしてプレーが止まるたび、FWの選手らが自然と輪になって集まる。次にやるべきプレーをもう一度、確認しているのだろう。全員が自分の役割を明確に把握し、自分たちで状況を打開しようという意思がサントリーの選手からは感じられた。

ラグビー日本選手権で優勝し、喜ぶサントリーのフィフティーン=共同

ラグビー日本選手権で優勝し、喜ぶサントリーのフィフティーン=共同

過去最悪のリーグ9位に終わった昨季のサントリーは選手のベクトルが自分自身に向いておらず、他の何かの責任にしているような空気も感じられた。うまくいっていないチームではありがちなことではあるが、今季はまるで正反対だった。

頭働かせる訓練、若手らの成長促す

新しく就任した沢木敬介監督は、選手自身に考えさせる時間を増やしてきた。選手はポジションごとに分かれて対戦相手やニュージーランド代表などの試合の映像を分析し、チーム全体の前で結果を発表するトレーニングをしたと聞く。次の対戦チームの映像を選手が見ることはトップリーグの他チームでもよくあるが、今季のサントリーは分析の質が上がったのではないかと思う。

リーグのトライ王に輝いたWTB中鶴隆彰や、充実のプレーを見せたCTB村田大志ら若手・中堅の成長は、頭を働かせる訓練がもたらしたものだろう。

沢木監督は2015年のワールドカップ(W杯)の日本代表にコーチングコーディネーターとして帯同していた。担当はバックスの攻撃戦術など。南アフリカ戦で五郎丸歩のトライにつながったラインアウトからのサインプレーは、沢木さんがエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)に採用を強硬に主張したものだった。必要なことを必要なときに言える強さは、沢木さんの長所の一つだろう。

日本選手権決勝の直後のテレビインタビューでは、「明日も練習です」と言っていた。こわもてに見られがちかもしれないが、実際の沢木さんは細かいところにも非常に気がつく人でもある。

日本代表ではジョーンズHCと選手の間に入り、互いの意思疎通をスムーズにしてくれた。プレーや出場機会などで悩みを抱えがちな選手にとっては、話を聞いてくれる人がいるだけでもありがたいときがある。W杯前、先発組ではなかった僕たちに「対戦相手の分析をしてみないか」と提案してくれたのも沢木さんだった。

報道陣から選手に対してアメとムチをどう使い分けているのかと問われたときは「ムチがなくてもやっていけるんですよ」と答えていたそうだが、実際には選手のモチベーションを高めるためのアメを陰でしっかり配っているはずだ。

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