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いつも山頂を 亡き師匠が語った稀勢の里との秘話

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2017/1/25 6:30
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大相撲初場所で悲願の初優勝を飾り、日本出身では19年ぶりとなる横綱昇進を決めた稀勢の里(30)。角界最高位への礎を築いたのは、先代師匠の故・鳴戸親方(元横綱隆の里)だ。2011年11月に59歳で急逝したが、その1カ月前に親方は日本経済新聞のインタビューで、入門当時から厳しく指導してきたまな弟子への思いを語っていた。亡き師匠が明かした稀勢の里との秘話とは――。

中学校校長が角界入り後押し

04年3月に十両昇進を果たし、師匠の鳴戸親方(左)に祝福される稀勢の里(当時は萩原)=共同

04年3月に十両昇進を果たし、師匠の鳴戸親方(左)に祝福される稀勢の里(当時は萩原)=共同

2人の出会いは、稀勢の里が中学生のときに鳴戸部屋の見学に訪れたことがきっかけだった。当時から恵まれた体格の少年を見て、親方はほれ込んだ。

「体を触ると、筋肉的にも肉質的にもいいものがあった。肉が伸びるというのかな、引っ張れば弛緩(しかん)する柔らかい筋肉。カリカリの肉と骨だけではないんですよね。ゴムのように伸びる肉質を持っていた。お父さんとお母さんに、まだまだ体も大きくなりますよ、卒業したら相撲部屋に入ってくださいと(スカウトした)」

「(角界入りを)お父さん、お母さんは決められなかった。中学校へ会いにいったとき、担任の先生もすごく反対した。校長室に2時間くらいいたかな。校長先生は黙って聞いていたけれど、最後に『君はやっぱり力士になった方がいい。親方もそう言っているんだから、そうした方がいいのではないか』と言った。そうして話がまとまっていった。本人は迷っていたんですよね」

02年春場所に「萩原」のしこ名で初土俵。角界有数の稽古量を誇る部屋で、親方は突き押し相撲を徹底してたたき込んだ。それは弟子の体の特徴を見抜き、けがのない頑強な肉体をつくり上げるためでもあった。

「(入門して)好きに相撲をとってごらんと言ったら、ただのわんぱく相撲だった。すぐに差してまわしを取って、体だけ寄せる相撲をとった。小中学校のレベルでは体が大きいから勝つだろうけれど、これからはそうはいかないと思った。蹲踞(そんきょ)をさせると、(足が)くにゃっといかず、爪先で立っちゃう。これではまわしを取って、ごちゃごちゃしているうちに、膝を折るなどけがをする。腰も膝も足首も硬い。そういう人は元来、四つ相撲は無理。それは入門してすぐ気づいた」

「これはダメだと思って、『そういう相撲をとったら出世は止まる。あしたから稽古場でまわしを取ってはいけない』と懇々と話した。そこから来る日も来る日も、押しと突き、突きと押し。あとは相手に捕まったときの対策を教えた。それだけでしたよね。(現在小結の)高安なんか、そんな稽古はしたことない。稀勢の里はなんで、俺にはさせてくれないのかと思ったかもしれない」

「3~5年後のこと」考え助言

スピード出世で番付を駆け上がり、16歳で幕下に昇進。04年には貴花田(後の横綱貴乃花)に次ぐ昭和以降2番目の年少記録となる17歳9カ月で新十両となった。

「三段目のときに出稽古にいったら、(周囲を)びっくりさせていた。幕内力士と稽古をして、5番くらい続けて負かした。そうしたら相手は(稀勢の里に)びんたを食らわせた。俺は熱くなって、『関取が下の者に負けたからって、手を出すんじゃねえ。力がついてきたなと褒めてやるもんだろ。なに、みっともないことしているんだ』と威圧したよ」

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