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サントリー沢木監督、ジョーンズ氏と似て非なるもの
トップリーグ優勝の手腕分析

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2017/1/20 6:30
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一人は「似ている」と言い、もう一人は「ちょっと違う」と否定する。今季のラグビー・トップリーグを制したサントリーの沢木敬介監督の手綱さばきを見ると、エディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチ(HC)の影響と、そこからの脱皮がうかがえる。

沢木監督は2015年のワールドカップ(W杯)イングランド大会を戦った日本代表にコーチングコーディネーターとして帯同。バックスの技術指導や、ジョーンズHCと選手のパイプ役を担った経歴がある。

「指示クリア、選手迷わせぬ」

トップリーグ優勝へチームを率いた沢木監督=共同

トップリーグ優勝へチームを率いた沢木監督=共同

2人の指導者の類似性を指摘したのは、日本代表とサントリーでジョーンズ氏の指導を受けた経験のあるSO小野晃征だった。今季も司令塔として最優秀選手(MVP)級の活躍を見せた小野によると、「指示がクリアで、選手に迷わせない」というのが共通点。

沢木監督が今季、真っ先に選手に示したのが、「マインド(頭の中)や、メンタル、悪い習慣を変える」という決意だった。

日本代表から3年ぶりにサントリーに復帰した沢木監督は、選手の意識の停滞を感じていた。「ラグビーは進化しているのに、サントリーは優勝したときのまま。練習で100%の力を出しているふりをしながら、実際は70~80%の力でやる、悪い習慣ができていた」

選手に手を抜いている意識があったわけではない。国内外のラグビーのレベルが上がっているのに、選手が自らに求める基準が変わっていないことが問題だった。ただ、解決は容易ではない。

代表HC時代のジョーンズ氏は、強豪国の身体能力やプレーの数値を選手に提示することで、明確な目標にしていたが、沢木監督も同様のことを行っている。「インターナショナルスタンダード」というスローガンを設定。国際試合を戦えるチームになろうという意思を内外に示すとともに、「タックルなどで倒れてから起き上がるまでは2秒以内」など具体的な項目も定めた。

選手に高い基準を課すためには、まず指導者の頭の中に高い基準が存在しなければいけない。自己研さんは必須になる。その点で突出しているのがジョーンズ氏だった。国内外の指導者に相次いで面会し、質問攻めにする。情報通の知人に頼み、他競技の最新のトレーニング法や、指導者の名言などをメールで定期的に入手していた。

「エディーのようにハードワークして勉強し、プロフェッショナルに仕事をしないと、指導者として成長できないとすごく感じた」と話す沢木監督も、同じ意識で学んでいるという。海外の試合の映像を毎日見て勉強。ジョーンズ氏らと連絡を取って、世界のプレーの潮流や、審判の判定基準の変化などを探り、練習に反映させている。

2人に共通するのは向学心

2人に共通する向学心は、現役時代の経歴から来るのかもしれない。07年に現役を引退した沢木監督は身長183センチ、体重80キロと並の体格のSOだった。突出したスピードがあったわけでもない。「フィジカルが優れている選手じゃなかったので、より深くラグビーを考えていた。計画づくりや戦術を考えるのは好き」と沢木監督は振り返る。ジョーンズ氏も選手時代は身長173センチの小柄なフッカーだった。オーストラリア代表の手前まで行ったのは、体格の不利を頭で補っていたからだろう。

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