2018年8月14日(火)

「働き方改革で生産性向上を」小室社長に聞く

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2017/1/12 6:30
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 安倍晋三首相主導の「アベノミクス新3本の矢」として位置付けられる働き方改革の下、多くの企業は長時間労働の是正を迫られている。ただ業種や企業特有の事情もあり、有効な対応策は見えにくい。産業競争力会議の民間議員も務め、働き方改革のコンサルティングを手掛けるワーク・ライフバランス(東京・港)の小室淑恵社長に先進企業の取り組みを聞いた。

 こむろ・よしえ 日本女子大卒、資生堂入社。育児休業者の職場復帰支援で社内起業。05年に資生堂を退社し、06年ワーク・ライフバランス設立。900社以上へのコンサルティング実績を持ち、「産業競争力会議」の民間議員も務める。2児の母。

 こむろ・よしえ 日本女子大卒、資生堂入社。育児休業者の職場復帰支援で社内起業。05年に資生堂を退社し、06年ワーク・ライフバランス設立。900社以上へのコンサルティング実績を持ち、「産業競争力会議」の民間議員も務める。2児の母。

 ――働き方改革が企業経営の課題として広く認知されるようになりました。

 「日本は生産労働人口が減少に転じた1990年代に既に働き方を根本的に見直す時期だった。しかし『失われた20年』で人余りの状況が続いたために対策が後手に回った印象がある。高度成長期は労働時間が成果につながる製造業が中心の社会だった。その時代の成功体験を持つ世代が経営者となり、『長時間労働が成果を生む』という固定観念が根強く残っていた」

 「日本での社会的な転換点は2013年のアベノミクスの好景気が行き渡り始めた時期だろう。牛丼チェーン『すき家』で従業員を確保できずに閉店が広がったのが1つの象徴だ。小売店や外食店が人手不足に陥り、働き手を確保できなければ企業が成長できないという認識が広まった」

 ――欧米ではどうだったのでしょうか。

 「まず米国は常に移民が流入し続け、労働力人口が不足しない特殊な構造なので参考にできない。欧州では90年代に既に労働参画率を高めることと少子化対策の2つの社会問題を解決せずに将来の成長はないという合意があった。まず参画率を高めるためには女性が働ける環境を整備する。そして少子化対策には労働時間改革が必要だった」

 「将来的に生産労働人口が減るのは国家存亡にかかわる危機とし、政府は労働規制を敷いた。週35時間といった労働法で企業に働き方改革を迫ったのだ。英国のブレア政権では2000年に『チャレンジ基金プログラム』と題して、企業1社あたり約500万円の補助金を負担し、働き方改革を推進した。日本では労使問題として政治が距離をとりがちだが、国家の課題という認識を持つべきだ」

 ――政府主導の制度で末端まで働き方の意識改革は進むのでしょうか。

 「労働時間の上限をつくれば、時間あたりの生産性の高い人が評価される。日本では上司の指示に応えようと深夜まで働く部下は『よくやった』と褒められていた。しかし欧州では深夜まで残業すると法律的に翌朝出勤停止になるため別の仕事ができなくなる。結果的に時間内に仕事を終わらせる部下が評価される」

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