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今年のレース 自分を笑えるほどの奮戦決意
編集委員 吉田誠一

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2017/1/11 6:30
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新しい年を迎え、1月2日から走り始めた。14年前に私が本格的にランニングを始めたころと比べると、若いランナーがかなり増えた気がする。華やかなランニングウエアに身を包んだ彼らに楽々とかわされても悔しいとは思わないが、その颯爽(さっそう)とした姿、軽快な走りはうらやましい。

昨年12月23日の足立フレンドリーマラソンで軽快に走る出場ランナー

昨年12月23日の足立フレンドリーマラソンで軽快に走る出場ランナー

こちらは1月13日に55歳になる。颯爽と、というわけにはいかない。体の動きがシャープではないし、パワフルでもない。軽快に走れる距離が限られている。以前も書いたかもしれないが、平たんなコースなのに「上り坂」に感じることがある。

50代のランナーの楽しみ方

ランナーとしては下り坂といわれるかもしれないが、日々、「上り坂」を走っている。「私の人生、上り坂」ということだ。どんなもんだいと、わけのわからないことを考えながら、トレーニングで苦悶(くもん)している。それが50代のランナーの楽しみ方だ。

スマートではない。何となく、どろどろとしている。自虐的なところがある。よせばいいのに、ぎりぎりのところで抵抗している。そんな自分が好きなのだ。どんどんナルシスト度が高まる。

前日、走った距離は何とか覚えているが、2日前、3日前に何キロ走ったかは思い出せないことが多い。練習コースのどこまで走ったのか、脳裏に映像を映し出そうとしても浮かんでこない。スポーツウオッチに残っている記録を確認しなくてはならない。

2日前に食べたものを思い出せないことがあるし、人の名前もなかなか出てこないのだから仕方がない。私の脳はそういう状態にある。

2016年の年間走行距離は2550キロに終わった。9月の265キロが最長で、300キロには1度も達しなかった。月間平均は200キロ強。この10年で最も少ない。11年と比べると100キロも減っている。

仕事が忙しかったんでしょうね、と思ってもらえるだろうか。それはどうでもいいが、結果的に貧しい時間の使い方をしていたことになる。市民ランナーの月間走行距離は、ある意味では人生の豊かさの指標になる。

実利的ではない何かに夢中になって、奮戦する自分を創造できていることこそがうれしい

実利的ではない何かに夢中になって、奮戦する自分を創造できていることこそがうれしい

そこで考える。豊かな人生って何なのだろう。仕事で何かを達成するとか、懐が潤うとか、名誉を得るとか、そういうものとは関係がない。全く違った価値観を基準にして満たされているかどうかが問題になる。

ランナーの人生は豊かな人生なのだろうか。記録更新を狙い、強度を高めたトレーニングをしていると、どうしてこんなつらいことを好き好んでしているのだろうと感じる。「好きだねえ」と人にいわれる。

夏は暑い中で汗だくになり、冬は寒風に耐えながら走っている。フルマラソンに出れば、「こんなつらいのはもう嫌」と毎回思い、ボロボロになってゴールする。何かが手に入るわけではないのに、そんなことをしている。

「バカだねえ、まったく」と自分を揶揄(やゆ)したくなることがある。バカな自分を「何が楽しいの?」と、からかいたくなる。自分を笑いたくなる。

しかし、そこが重要なのではないかと思う。笑ってしまいたくなるほど、実利的ではない何かに夢中になって、奮戦している自分を創造できていることこそがうれしい。それによって心が満たされるのだ。

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