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IoT、日本の勝機は「T」にあり パナソニック宮部CTO
CTO30会議(7)

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2017/1/18 6:30
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日経BPクリーンテック研究所

 パナソニックは1918年に大阪の町工場から始まった。創業当時の従業員数は3名だったが、約100年が経った今は世界全体で約25万6000人という大企業になった。パナソニックというと家電のイメージが強いが、売り上げに占める家電の比率は約25%と意外に低い。家電の他には、住宅や車載エレクトロニクス、産業用機器などがある。普及が進むIoT(モノのインターネット)では、「T」の部分が成功の鍵を握ると言われており、「T」を多く扱う同社には有利な条件が整っている。同社の宮部義幸代表取締役専務に、CTO(最高技術責任者)の役割やIoT時代の戦略について聞いた。

――CTOの役割を教えてください。

写真1 パナソニック 全社CTO 宮部義幸専務(撮影:新関雅士)
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写真1 パナソニック 全社CTO 宮部義幸専務(撮影:新関雅士)

宮部 津賀が社長になってから大きな構造改革に着手し、今から3年半ほど前、9つあったドメインを再強化・再編成し、4つのカンパニーを設けました。パナソニック全体を4+1のマネジメントということで経営し、各カンパニーにCEO(最高経営責任者)、CTO、CFO(最高財務責任者)を置いています。

 全社のCTOもカンパニーのCTOも役割は基本的に同じですが、見ている範囲が違います。全社CTOは、各カンパニーが間違った方向に行かないように監督したり、事業に関係ない分野の技術を担当したりしています。全社CTOは直下に事業をする部を持ちません。新規事業を始める場合も、カンパニーがしっかりと軸を持ち、本社CTOは必要に応じてサポートするだけです。

 また全社CTOは技術者の横断的な人事異動を担当します。キーとなる人材を育成するためにカンパニーを越えた配置換えをするなど、全社を横断的に見て人事を行うのです。

――1990年代から2000年代前半までの日本の電機産業は電化と家電のデジタル化でいいポジションを占めていたのに、インターネット時代ではなぜ米国の後塵を拝したのでしょうか。

宮部 出始めたころのインターネットの性能は、決して高くありませんでした。品質は悪く、転送速度も低かったのです。パナソニックも日米間に専用線を引くなどインターネットに積極的に投資しましたが、社会インフラになるとは考えていませんでした。せいぜい一部のマニアが使うアマチュア無線のような存在で終わると考えていました。しかし、それが大きな間違いでした。

 一方の米国は、クリントン大統領とゴア副大統領が「情報スーパーハイウエイ構想」を打ち出したことでインターネットの普及に拍車がかかりました。そして、国家戦略としてインターネットというプラットフォームの上でのビジネス展開を促してきました。その結果、シスコシステムズやアップル、グーグルといった企業が活躍するに至ったのです。

 日本企業は、家電のデジタル化において経営陣がそこに注力するという決断をしました。デジタル化を必ず実現するという、ある意味で腹をくくったのです。でも米国企業はデジタル化に失敗しました。それがインターネットでは、日本企業が決断できず、米国企業は決断したということです。大きな意味でイノベーションのジレンマと言えます。

――インターネットでは決断ができずに米国企業に主導権を取られました。そして、国内のスマートフォン(スマホ)事業のように、パナソニックではこれまでに一部事業からの撤退を経験しています。CTOとしては撤退に伴い技術の流出という懸念もあるかと思います。そうした撤退を決断する条件を決めていますか。

宮部 事業全体の総合的な判断で撤退するかどうかを決めています。条件や基準は事業によってケースバイケースです。例えば、国内のスマホ事業から撤退しましたが、これは潮目が変わったからです。

 いわゆるガラケーの時代はNTTドコモなど通信事業者がスペックを決めていました。そのころはパナソニックがいいポジションにいました。しかしスマホになった時点でスペックを決める人がAndroid OS(基本ソフト)を供給するグーグルに変わりました。ここでのパナソニックのポジションは低く、仕様などの情報を入手するタイミングが遅くなり、開発競争で勝てなくなりました。

 であれば、リソースを他に転用したほうが良いと判断しました。スマホの技術は、IoT時代に向けて必要なものですので、事業を売却することはしませんでした。撤退する時に技術の転用先としてタブレットPCとデジカメ、ガラケーの3つの方向性を従業員に示しましたので、比較的スムーズに移行できたのではないでしょうか。

――グーグルをはじめ、米国企業はデファクトスタンダード(事実上の標準)を含めた国際標準を作るのがうまいと思います。一方、日本企業はそういうことが苦手です。日本企業は、国際標準の動きにどう対応すべきだと思いますか。

宮部 必ずしも日本企業が国際標準化を苦手としているわけではないと思います。例えば、携帯電話でも伝送の標準化では、日本企業が技術力を背景に国際社会でも好ポジションに着けました。ただ、その上のレイヤーであるOSやアプリケーションでは標準の座を取れていません。1990年代にiモードで間違いなく世界でトップを走っていたにも関わらず、グローバルスタンダードにはなれませんでした。

 かつてのビデオテープのVHS方式も、ゲーム機などもデファクトスタンダードと言えるでしょう。DVDでも国際標準を採ることができました。生産では中国企業にシェアを奪われてしまいましたが、国際標準規格は日本が作ったものです。これは、DVDプレーヤーを製造する日本企業とコンテンツを製作する米国の映画業界が組んで、標準化を進めたことが大きく影響しました。

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