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ジャンボの再起願う 古希なんか吹っ飛ばせ

ゴルフジャーナリスト 地平達郎

この1月24日は男子プロゴルファー、ジャンボ・尾崎将司の70歳の誕生日である。満年齢でも「古希」を迎えることになる。

「人生七十、古来稀(まれ)なり」とされるが、いまどきの70歳は現役バリバリの人もたくさんいるし、感覚的には10歳若い「還暦」に近いかもしれない。とはいえ、足腰の痛みや体力の衰えは確実にやってくる。大きな曲がり角にさしかかる年齢であることは間違いない。

全盛期とのギャップ埋められず

昨年11月のダンロップ・フェニックス2日目、尾崎将は前半9ホールを終えると腰痛のため棄権した=共同

それでも、やっぱりジャンボに古希は似つかわしくない――と思えてならない。かつてのすさまじいばかりの全盛期を知っているだけに、そのギャップがどうしても埋まらないのだ。

日本プロゴルフ界きってのヒーローで、1970年代からのゴルフ第2期黄金時代のけん引役、トップランナーであり、光り輝く「フェアウエーの華」だった。ゴルフ界だけではなく、日本のプロスポーツ界のスーパースターの一人である。

その足跡を振り返るだけでも、目を見張らせるものがある。

前回の東京五輪が開かれた64年の第36回選抜高校野球大会で、徳島県立海南高校(現・県立海部高校)のエースとしてチームを優勝に導き、翌年、当時の西鉄ライオンズに入団。3年後の68年に退団してプロゴルファーを目指すことになるが、翌69年10月のプロテストで一発合格し、70年にプロ入りを果たした。

プロ2年目の71年9月の日本プロ選手権(宮崎県フェニックスCC)で初優勝を飾ると、そのあとも4勝して、いきなり賞金王に。さらに翌年は10勝をあげ、2年連続マネーキングと、完全にトップの座に就いた。

「飛ぶ鳥落とす勢い」とはこのことで、それまでの日本人プロでは考えられない飛距離が話題を呼び、大ギャラリーがコースにつめかけ、歓声をあげた。

ちょうどそのころ、米ボーイング社の大型旅客機747ジャンボジェットが就航して人気が沸騰。その雄姿と尾崎の豪打、プレースケールの大きさがダブったのだろう、「ジャンボ」のニックネームが付けられ、ゴルフをやらない人にまで、その愛称が知れわたるようになった。

80年代前半に突然、低空飛行に

しかし、80年代前半に突然、低空飛行に入った。80年12月のゴルフ日本シリーズに勝ったあと、81年は無冠で賞金ランキングはなんと28位。予選落ちが10回もあった。82年9月の関東オープンで1年9カ月ぶりのタイトルを手にしたものの、この1勝だけで、賞金ランクは16位。翌83年も、秋口まで未勝利が続いた。

私事で恐縮だが、この83年の3月、ゴルフ月刊誌の創刊に編集長として携わった。次の年の1月号は初めての「新年号」になる。なんとしても明るい話題・特集で飾りたい。

それには、前の年にともに賞金ランキング自己最高の17位になった長弟・ジェット健夫、13位の末弟・ジョー直道の「尾崎三兄弟」しかない。しかし、肝心のジャンボが不振のどん底にある……。

どうしようか迷った揚げ句、ジャンボに協力してくれないか頼んでみた。

「いいよ」と、OKしてくれたのだ。

早速、スタッフ総出で、徳島の実家に両親を訪ねるなど、各方面の取材にあたった。メインのトーナメントを10月のジュンクラシックと決め、ゴルフはもちろんのこと、三兄弟の対談まで、特集は50ページ以上にもなった。

協力してくれたこともそうだが、何よりうれしかったのは「じゃあ、勝つか」と言っていたジャンボが、その約束どおり、1年1カ月ぶりに優勝して、新年号に花を添えてくれたことだ。

その2~3年後から再び機首上げに転じると、88年から98年までの11年間に9回。70年代の3回を加え、計12回の賞金王に輝いた。通算113勝、うち日本ツアー認定94勝は、もちろん日本最多である。

「重大な局面に立たされている」

そんなジャンボが近年、腰痛(脊柱管狭さく症)に悩まされている。コースでも、かつての雄姿がまぶたに焼き付いているだけに、歩くのがやっとの状態のジャンボを見るのがつらかった。

昨年11月、45年前にプロ初優勝を飾った思い出深いフェニックスCCで行われたダンロップ・フェニックス2日目。9ホールで棄権すると、「治療方法はないんだ。重大な局面に立たされている」と寂しげに語った。

「不死鳥」のようによみがえるのは難しいかもしれない。しかし、日本のプロゴルフを引っ張ってきたジャンボに、このままフェアウエーから去ってほしくない。

ジャンボには、ゴルフコースにいるのが一番似つかわしい。古希なんか吹っ飛ばして、周囲をパッと明るくする底抜けのあの笑顔をゴルフ界で見せ続けてもらいたい。

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