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築地のマグロ初セリ、王者に挑む新星が登場

王者が6連覇を達成するか、それとも新星が取って代わるか。お正月の風物詩として注目を集める東京・築地市場のマグロ初セリが1月5日に開かれる。2016年までの5年間はすし店「すしざんまい」を運営する喜代村(東京・中央)が最高値を提示し落札してきたが、今年は少し事情が違う。

16年の築地の初セリで、最高値の1400万円を付けた青森県大間産のマグロ

参戦を宣言しているのは、回転ずしチェーンの元気寿司。スシロー、無添くら寿司、はま寿司、かっぱ寿司に並ぶ大手で、2017年3月期の売上高は340億円の見通し。ご祝儀の意味合いもあり高値が付きやすい初セリだが、王者と新星の激突で価格がいつも以上に跳ね上がる可能性もある。

築地では例年、新年最初の生クロマグロの競りが「初セリ」と呼ばれ、大きな盛り上がりを見せる。この季節、青森県大間町に代表される津軽海峡での漁は過酷で、水揚げが大きく減るところにご祝儀相場となるため、価格は高くなりやすい。

2016年の初セリでは青森県大間産の生クロマグロを喜代村が1キロ7万円(1匹1400万円)の最高値で落札した。15年の2.8倍だ。小池百合子都知事の判断で延期になったが、16年11月に市場が豊洲に移転予定だったため「築地最後の初セリ」として盛り上がった面もある。

喜代村の木村清社長は自らセリ場に出向き、マグロの質を見極める。どのマグロを狙うか、どこまで予算をとるかは社長が判断する。17年の初セリについては「買いたいマグロがあれば買えるように頑張るだけ」(広報担当者)と話す。

17年は長らく1強だった喜代村の前に元気寿司が立ちはだかる。同社の藤尾益雄会長は「デフレ基調の世の中で、外食も厳しい。景気づけにしたい」と話す。元気寿司の親会社で藤尾会長が社長を務めるコメ卸最大手、神明(神戸市)が水産事業の本格展開を計画するなかで、参加を決めた。

元気寿司の売上高は2016年3月期で323億円。神明のグループ全体では1600億円になる。規模では喜代村の256億円(16年9月期)を上回る。16年に3番手のマグロを落札した築地すし好(東京・中央)もチャンスをうかがっており、激戦は必至だ。

マグロを築地に仕入れる卸会社の東都水産は「年末年始の天候が重要」と指摘する。悪天候で高品質の魚が少なければ、需要が一部に集中して価格がつり上がる。16年12月末時点では高品質のマグロがとれる津軽海峡付近でエサとなるスルメイカが少なく、マグロも供給が絞られている。

13年につけた史上最高値の1キロ70万円(1匹1億5540万円)は「1匹で船1隻分のマグロを買い占められる」(卸会社の中央魚類)ほどの高値だった。にぎりずしにすると原価だけで1個10万円相当になる水準で、この時は、すしざんまいと香港資本の板前寿司が競り合い、すしざんまいが勝利した。14年には板前寿司が競争から降り、1キロ3万2000円に落ち着いた経緯がある。

今年はどうなるか。決戦は4日後に迫っている。

(商品部 山田彩未)

[日経産業新聞1月1日付]

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