結論! 銀行口座を3つに絞ればどんどんたまる

放ったらかしでもお金がたまる秘訣は、銀行口座の使い方にありました。銀行の選び方や使いこなし方を見直し、お金がたまる&増える仕組みをつくりましょう。
「使う」「ためる」「増やす」3つの用途で口座を使い分け
お金がたまる仕組みづくりの第一歩は、「使う」「ためる」「増やす」の3つの用途に合った銀行を選ぶこと。手持ちの銀行の特徴を考えつつ、どの口座を、どう活用するか明確にしよう。
メーンバンク(給与振込口座)は「使う」口座。「クレジットカードの代金や光熱費などの引き落としは、ここに集約すると家計管理がしやすい」と、ファイナンシャルプランナーの前野彩さんはアドバイスする。
お金をためるには、給与から毎月、一定額を自動的に貯蓄用口座に移動する仕組みが重要だ。通常の銀行より金利が高めで、振込手数料やコンビニATMの利用手数料が低めのネット銀行を上手に活用したい。
お金を増やすには、地方銀行のインターネット支店やネット証券の口座開設もおすすめ。用途別に3つの口座を使い分け、賢くお金を増やそう。

(1)メーンバンク:「使う」口座(主に都市銀行や地方銀行)
家計管理の基点となる口座。都市銀行や地方銀行は、自行のATMを無料で使える時間帯に制限があったり、金利が低かったりするが、各行の優遇サービスなどを使いこなして、振込手数料やATM利用手数料がかからない工夫を。
(2)サブ銀行:「使う」「ためる」口座(主にネット銀行 または 都市銀行の自動積立口座)
おすすめは、都市銀行より金利が高めのネット銀行。給与振込口座から毎月無料で、一定額を自動入金してくれるサービスがあるネット銀行などを活用しよう。都市銀行でためるなら、自動積立定期などで口座を分けて管理して。
(3)"得する"銀行:「使う」「増やす」口座(主に地方銀行のネット支店 またはネット銀行)
地銀のネット支店の定期預金は、まとまった額のお金を増やすのにおすすめ。投資で増やしたい人は、楽天銀行や住信SBIネット銀行など、グループにネット証券を持つ銀行を選び、証券口座と連携させ、金利アップなどを狙う手も。
例えば…
まとまった額のお金を高い金利で増やしたい → 地方銀行のネット支店
外貨預金を海外でお得に使いたい → ソニー銀行
証券口座と連携して、お得に投資を始めたい → 楽天銀行、住信SBIネット銀行 など
・定期預金
預入金額と期間(満期日)が決まっている預金。普通預金より金利は高めだが、途中解約の場合は中途解約利率が適用され、金利が下がる。
〇 まとまったお金を高めの金利で預けられる。
× 原則として、満期日を迎えるまで解約できない。
・自動積立定期
毎月、一定額を普通預金口座から自動で積み立てる預金。積立金額は自由に設定&変更可能で、解約や一部積立金の引き出しもできるのが一般的。
〇 毎月、自動的にお金を天引き貯蓄できる。
× 解約しやすいので、貯まると使いたくなる人は注意。
・貯蓄預金
預入期間が設定されていないので、いつでもお金を引き出せる。みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行などの、残高に応じて金利が段階的にアップする仕組みが主流。
〇 突然の出費にもスムーズに対応できる。
× 給与振り込みや公共料金の自動支払いはできない。
・普通預金
銀行取引の基本となる預金口座。好きなときにお金の出し入れができる。給与の自動受け取りや、公共料金や家賃などの自動支払いも可能。
〇 いつでも出入金できる。給与振り込みや公共料金支払いなども可能。
× 銀行預金のなかでも、金利は最も低め。
銀行口座と賢く付き合う7つのルール
1.現金を下ろすのは月1回までと決める
「1カ月の現金支出分を把握し、月に1度まとめてお金を下ろすと、家計管理がしやすく、時間外ATM手数料などを支払うこともなくなります」(前野さん)
2.固定費やカードの引き落とし口座は1つにまとめる
家賃、光熱費、水道代、保険料、通信費、クレジットカードの引き落としなどはメーン口座に集約すると、家計を管理しやすい。
3.1カ月に何回、ATMを使ったか数える習慣を
銀行や優遇サービスの内容によって、提携ATMの利用手数料が無料になる回数が異なる。制限オーバーにならないよう、ATMを使った日は手帳などに記録。
4.近隣に無料で使えるATMがある銀行を選ぶ
会社や自宅近くに無料で使える自行のATMや提携ATMがあれば、手数料のムダが生じない上、出入金の手間も時間も削減できる。
5.銀行のホームページは1カ月に1回チェック
「手数料などを見直す銀行が出てきているので、銀行のホームページは定期的に確認し、最新状況をチェックして」(FPの坂本綾子さん)
6.ためる口座のキャッシュカードは持ち歩かない
貯蓄用口座のキャッシュカードは持ち歩かない。現金を引き出しにくくすることが、たまったお金を使いたくなる誘惑に打ち勝つコツ。
7.臨時支出やご褒美はボーナスでやりくり
冠婚葬祭や旅行などの費用は月々の給与とは別に予算化し、貯蓄用口座などに分けておくと、「なんとなく支出」を防げる。
あるとつい使ってしまいがちなボーナス。「何にどのくらい使うかを予算化することが大切」と、投資教育家の山崎俊輔さん。住宅ローンや税金などをボーナスで支払った上で、臨時支出分、旅行などのご褒美資金、貯蓄や投資に回すお金をバランス良く配分しよう。
・ローンや税金の支払い
・冠婚葬祭など、臨時支出用の予備費
・旅行や洋服代などのご褒美資金
・貯蓄(投資)
この人たちに聞きました

坂本綾子さん
20年以上お金の記事を執筆。FPとして独立後は個人相談やセミナー講師なども行う。2008年から情報サイト「All About」で金融機関との付き合い方をガイド。

深野康彦さん
独立系FP会社などを経て、2006年から現職。資産運用をテーマに、各種メディアで活躍。マクロな視点を踏まえた上でのアドバイスに定評がある。

前野彩さん
オフィスwill代表。女性の家計管理に詳しい。著書に『本気で家計を変えたいあなたへ書き込む"お金のワークブック"〈第2版〉』(日本経済新聞出版社)などがある。

山崎俊輔さん
企業年金研究所、FP総研を経て独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。著書に『誰でもできる確定拠出年金投資術』(ポプラ社)など。
[日経ウーマン 2017年1月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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