スマホ版「マリオ」 出足好調?物足りぬ?

(1/2ページ)
2016/12/26 6:30
保存
共有
印刷
その他

任天堂が提供を始めたマリオ初のスマートフォン(スマホ)ゲーム「スーパーマリオラン」のダウンロード数が、配信後4日間で4千万超に達した。好調な出足にみえるが、売り上げでは日本でトップを逃すなど株式市場にとっては物足りないようで、株価は下落した。「買い切り型」のゲームだけに単独ではこれ以上、もうけは伸びにくい。今後はユーザーをいかにゲーム機に導けるかが収益を左右しそうだ。

任天堂のスマホゲーム「スーパーマリオラン」(C)2016 Nintendo

任天堂のスマホゲーム「スーパーマリオラン」(C)2016 Nintendo

マリオラン(画像は任天堂提供)は米アップルのスマホ「iPhone」など向けに今月16日から世界150カ国・地域で配信を始めた。任天堂によると配信開始後4日間のダウンロード数は4千万を超え、アップルが運営するアプリ配信ストア「アップストア」で史上最速となった。

マリオランはダウンロードからゲームの一部までは無料。全部を遊ぶには日本なら1200円、米国では9.99ドルを払えば、追加の課金無しで遊べる買い切り型だ。

任天堂によるとマリオランは世界100の国と地域で売り上げトップ10に入った。米調査会社アップアニーの推計では、配信から5日間の収益は世界で約1900万ドル(約22億3千万円)に上ったという。米国や英国では売り上げ首位も獲得している。

買い切り型スマホゲームとしては大成功といえるが、株式市場の評価は厳しい。配信前の12日に約5カ月ぶりの高値となる3万180円まで上昇した任天堂の株価だが、22日は一時2万3505円と約1カ月半ぶりの安値水準まで下落した。

悲観を誘ったのが日本市場での苦戦だ。ファミ通モバイルゲーム白書によると、日本のモバイルゲーム市場規模は2015年に9454億円と世界最大。その国内市場でマリオランの売上高ランキングは、これまで最高となった18日で3位にとどまった。

買い切り型で追加課金がないゲームだけに、今後にiPhone利用者からの収入が爆発的に伸びていくのは想定しにくい。SMBC日興証券の前田栄二シニアアナリストは「3ステージしか無料部分が無かったのは中途半端だったかもしれない。勢いを加速させるのは難しいのでは」と指摘する。

だが、任天堂側に悲壮感はない。任天堂関係者は「ダウンロード数の伸びは順調だ」と話す。任天堂にとって本丸は、あくまでゲーム機ビジネス。今後の注目はマリオランで任天堂のゲームに触れたユーザーをいかにゲーム専用機につなげられるかだ。

「スーパーマリオラン」は最速で4000万ダウンロードを達成

「スーパーマリオラン」は最速で4000万ダウンロードを達成

同社は来年3月に新型ゲーム機「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」の発売を控える。マリオランを完全な買い切り型とはせず、一部無料で遊べる部分を含めたのには、できる限り多くのユーザーにマリオに触れてもらい、自社製ゲームへの関心を高めてもらう狙いが透けてみえる。

さらに、任天堂はスマホやパソコンなどハードの垣根を越えて利用できるアカウントサービス「ニンテンドーアカウント」の運用を始めた。マリオランでもニンテンドーアカウントと連携することでゲーム内で使えるアイテムを手に入れることができる。米ナイアンティックが開発したゲーム「ポケモンGO」には無い機能だ。マリオランでアカウントを作ってもらえれば、様々なサービスでユーザーを囲い込むこともできる。

マリオランを通じ、世界数千万ユーザーの手元に自社の橋頭堡(きょうとうほ)を得た任天堂。これをどう生かすかが今後の成長を左右する。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]