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都市鉱山でメダルを リサイクルだって五輪レガシー
編集委員 北川和徳

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2016/12/23 6:30
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今年もリオデジャネイロでの日本選手の活躍を別にすれば、2020年東京五輪・パラリンピックに関しては嫌なニュースばかりが続いた。莫大な開催コスト、東京都と大会組織委員会の不協和音――。都民や国民の間には20年大会を歓迎するどころか嫌悪するムードが広がっているようにも感じる。

日本は世界でも有数の埋蔵量

「都市鉱山」を活用したメダルのサンプルを手にする吉田沙保里選手=共同

「都市鉱山」を活用したメダルのサンプルを手にする吉田沙保里選手=共同

五輪・パラリンピックはこの国の将来に何を残してくれるのか。四面楚歌(そか)のような状況だけに、少しは前向きな話題にも目を向けたくなってくる。

そんなわけで20年大会の金、銀、銅メダルを「都市鉱山」から製造するという試みに注目している。都市鉱山とは使わなくなった携帯電話やゲーム機器、パソコンや周辺装置など小型廃家電のことだ。どこの家庭でも、引き出しや押し入れをのぞいてみれば、いくつか転がっているだろう。それぞれの機器の部品に微量だが金をはじめとする希少金属が使われている。これを回収して取り出し、再利用してメダルに変えようというわけだ。携帯電話会社やリサイクル会社など複数の事業者が協力する準備を進めている。

「ちりも積もれば山となる」ような計画ではあるが、すでに法律もあって一部はリサイクルされている。都市鉱山は天然の鉱山に比べて金属の含有率ははるかに高く、実際の採掘よりずっと効率的なのだそうだ。20年五輪・パラリンピックのために製造するメダルは金銀銅各1666個を予定。金メダルは通常、銀の土台に6グラムの金でメッキして作られ、必要な金の量は約10キロ、銀は約1200キロ、銅は約700キロ。実は現在の国内の小型廃家電のリサイクルで得られている金銀銅で計算上は必要な量を確保できるという。

金なら6800トン、世界の16%の試算も

東京都の小池百合子知事(右)。大会組織委との不協和音も伝えられる=共同

東京都の小池百合子知事(右)。大会組織委との不協和音も伝えられる=共同

だが、必要な数のメダルを都市鉱山に由来する資源だけで作ることがゴールではない。目標は資源を循環利用するシステムを定着させることだ。家電大国の日本は世界でも有数の都市鉱山を保有している。その埋蔵量は例えば金なら6800トン、世界全体の約16パーセントに当たるという試算さえある。だが、小型家電のリサイクルは制度こそあるものの、自治体や事業者によって対応はばらばら、何よりも意識や情報が世間に浸透していない。

自分でもわが家の埋蔵資源を調べてみた。新機種への買い替えで不要になった携帯電話が3台、携帯音楽プレーヤー2台、デジタルカメラに携帯ゲーム機、さらに昔のモデムまである。もう使うこともないから処分したいのだが……。多くの人が同じではないだろうか。

これらが表彰台でアスリートに授与されるメダルに変わるなら、どんどん提供して協力したい。メダルに使う貴金属集めをきっかけに、国民全体に小型家電は貴重な資源であるという意識が共有され、回収ルートが整備され、資源を取り出す技術も向上し、リサイクルが当たり前になっていく。これこそ20年大会が残す立派なレガシー(遺産)となるだろう。

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