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球場が呼んでいる(田尾安志)

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非情トレード、今も昔も 出番つかむ難しさ

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2016/12/25 6:30
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今オフのストーブリーグも、日本ハムからフリーエージェント(FA)宣言した陽岱鋼の巨人入り決定をもっておおむね一段落といっていいだろう。「契約先、求む」と自信満々に手を挙げ、新たな所属先が決まったFA選手は高額契約に加えて、半ば自動的にポジションも獲得。初めから活躍の場が保証されているようなもので、つくづく恵まれているなと思う。

忘れもしないあのときの記憶

FA宣言した陽岱鋼(右)の巨人入り決定で、今オフのストーブリーグもおおむね一段落か=共同

FA宣言した陽岱鋼(右)の巨人入り決定で、今オフのストーブリーグもおおむね一段落か=共同

FAの糸井嘉男を阪神に取られた格好のオリックスは、人的補償として阪神から投手の金田和之を獲得した。金田は「突然のことで正直、驚いています」とコメント。無理もないだろう。自由意思で球団を選べるFA選手との境遇の違いは余りにも大きい。もっとも、FA制度がなかったころは誰もが金田のように突然トレードを言い渡される可能性があったわけで、かくいう私も非情な通告を受けた一人だ。

「ちょっと来てくれ」。忘れもしない、中日時代の1985年1月24日。ナゴヤ球場で自主トレーニングをしていると球団代表に呼ばれた。球場内の食堂に行くと、山内一弘監督が同席のもと、西武へのトレードを言い渡された。このとき、31歳。前年まで4年連続打率3割の中心選手の放出、キャンプイン1週間前の通告と、まさに電撃的。投手の杉本正、捕手の大石友好(知宜)との1対2の交換トレードだった。

思い当たる節はあった。中日の選手会長時代、私は野球がやりやすい環境をつくろうと積極的に選手の声をすくい上げるようにした。要望で思い出すのは当時の本拠地、ナゴヤ球場の駐車場のこと。選手の駐車スペースにお客さんが簡単に入れる構造だったため、試合で負けた後に選手との間でよくいざこざが起きた。お互いにけががあってはいけないので「選手の駐車場を隔離してもらえませんか」と球団に頼んだことがあった。

選手の年俸を上げるよう球団社長にお願いしたこともある。82年、リーグ優勝に貢献した牛島和彦の年俸が思ったほど上がらなかった。あまりにも厳しいと思い、選手会副会長だった鈴木孝政と連れ立ち、社長宅に直訴にいった。「もうちょっと何とかできませんか」と言うと、社長は「若いのにあんまりお金をもらうと、ろくなことがない」「3年続けて活躍しないと」と一蹴。もっとも、この件ではさすがに出過ぎたまねをしたかな、とも思う。

予想外の妻の「栄転おめでとう」

田尾安志氏

田尾安志氏

相手が誰であっても萎縮せず、ずけずけとものを言う私の存在は、フロントからすれば目の上のたんこぶだったのだろう。将来を心配する人に「あまりあれこれ言わない方がいいよ」と忠告されたこともあるが、自分ではチームのために正しいことをしている気持ちが強く、おとなしく保身に走る気などなかった。

トレードを通告されたときは「この野郎」と頭にきたものの、あれこれ言っても始まらない。「わかりました」と言い、即座に荷物をまとめて球場を去った。すぐにニュースが流れたようで、家に帰ると既に女房は知っていた。突然の関東行きに動揺しているかと思ったら、あっけらかんと「栄転おめでとう」。こいつは大したもんだなと思った。

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