サムスン、ライバルLGに急接近

2016/12/21 6:30
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韓国サムスン電子が同じ韓国財閥大手のLGグループに急接近を始めた。テレビ向け液晶パネルとスマートフォン(スマホ)向け電池を2017年から供給してくれるよう、サムスンがLGに要請した。対抗意識が強い両社は、電機事業ではほぼ取引がない。韓国の大手2社がわだかまりを捨てて9年越しの連携に踏み切れば、日本の電機産業には脅威となる。

サムスンはこのほど、シャープと親会社である台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が共同運営する生産会社、堺ディスプレイプロダクト(堺市、SDP)から、来年中にテレビ向け液晶パネルの取引を中断すると通告を受けた。赤字のSDPは採算を改善するため価格改定を模索したが、折り合いがつかなかったとされる。

主なパネル工場は来年の供給先を固め、生産ラインにはほぼ空きがない時期。このためサムスンは、大型液晶パネル市場で世界シェアが首位(27%)のLGディスプレーに取引開始を依頼した。

16年上半期(1~6月)にサムスンはSDPと亀山第2工場(三重県亀山市)を持つシャープから、テレビ約120万台分のパネルを購入したもよう。同時期のサムスンのテレビ世界生産台数の約6%にあたる。規模が大きいだけに契約がまとまるか不明だが、LGディスプレーは前向きに検討するとみられる。

両社の契約が来年まとまれば、9年越しの提携となる。サムスンとLGは、金融危機後で経済状況がよくなかった09年、韓国政府の勧めもあってパネルの調達で提携することで大筋合意したが、実行されないまま合意は解消された。調達対象が20インチ前後と小さく、提携効果が見込めないことが理由だった。

今回はサムスンの実需がある。同社はSDPの方針を織り込んでか、16年になってSDPとシャープからの調達量(15年実績は約500万台分)を減らしたが、SDPから購入する40インチや60インチのパネルは調達手段を見つける必要がある。提携が実現すれば、持続的な提携になる公算が大きい。

サムスンはスマホ事業でもLGグループに秋波を送っている。最上位機種「ギャラクシーノート7」が発火事故のために生産・販売停止になったスマホ事業で、LG化学を電池の調達先に加えることを検討。LG化学に打診した。

来春発売を計画する新型スマホ「ギャラクシーS8」以降の機種にLG化学のリチウムイオン電池を搭載する可能性がある。ノート7の電池はサムスンのグループ会社と、TDK子会社の香港アンプレックステクノロジー(ATL)の2社購買だった。ノート7の発火事故の原因は依然調査中だが、電池にも原因があるとの見方があり、調達先を増やして柔軟な対応をとれるようにする。

サムスンは14年5月に李健熙(イ・ゴンヒ)会長が闘病生活に入ってから、長男の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長がグループを実質的に率いる。李副会長の存在感が増したこの2年半で、同社はいくつか変化をみせた。

1つは大型買収。同社は買収に頼らない自律的な成長を堅持してきたが、80億ドル(約9400億円)の自動車部品会社買収を決めるなど方針転換がうかがえる。持ち株会社制への移行検討を表明し、経営体制の見直しにも意欲を示す。

LGとの提携推進が実を結べば、それも李副会長体制の特長の1つと受け止められそうだ。

(ソウル=山田健一)

[日経産業新聞 12月21日付]

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