2018年9月22日(土)

[FT]企業の組織図はもうやめよう

FT
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2016/12/27 6:30
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Financial Times

 数年前、本紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が年末の慈善活動を呼びかけ、FT記者と昼食を取る権利をオークションにかけたとき、個々の「ロット(出品作品)」をクリスマスツリーの飾りとして宣伝する名案を思いついた人がいた。ツリーの一番上に編集長がいて、ほかの記者が下向きの枝からぶら下がっている絵だ。

 クリスマスの飾りに基づいて自社のヒエラルキーをこれ以上露骨に表現し世間に公表した組織があるとは思えない。だが、かなり多くの企業が、それほど華やかでないバージョンの絵を持っている。頂点に経営トップがいて、部下が序列と指揮命令系統によって枝分かれしていく「オーガニグラム(組織図)」だ。

 人事部長で構成する少人数のグループに聞いてみたところ、半分の人は、そうした組織図は不快な拘束衣だ、忌み嫌われるコンプライアンス(法令順守)上の義務だ、同僚同士の自然な交流の妨げだ、あるいは、その3つ全部だと言った。ロイズ・バンキング・グループやゼネラル・エレクトリック(GE)といった企業に会社の構造と文化を変えるコンサルティングを手がけるザ・レディーのアーロン・ディグナン氏は、こうした組織図を人事部門の「汚い秘密」と呼び、組織図には常に「それが事実ではないという注記事項」が付いてくると言う。

 一方、話を聞いた人事部長たちの残る半分は、組織図はビジネスが動く仕組みを明確にすると話す。組織図は、チームメンバーの役割とその性質について情報を提供する貴重なツールであり、有益な「コンテクスト(状況や経緯)」を与えてくれるという。ある人は、組織図は自分の会社で一番読まれているオンライン文書だと言った。

 だが、権力のピラミッドに誰もが注意を払っていた時代でさえ、組織図は企業の現実をよく反映していなかった。100年前の組織図の例を見ると、空席があばたのように点在しており、図を描いた人が変化についていくのに苦労した様子がうかがえる。

 スタッフの入れ替わりがより急激になった今、組織図は指揮統制的なアプローチの遺物だ。このアプローチでは、情報が固定されたチャネルを経由して、自分の上司の上司から自分の上司へ、そして自分へと流れて来て、その後、逆に上がっていく。

 このような形である必要はない。こうした組織形態の多くでは、恐れられている「点線の指揮命令系統」(注:明示的でないリポートライン)がすでにあることを物語る。つまり組織図が暗示するほど整然としたものは存在しないのだ。

■ヒエラルキーがない組織を実験

 歴史家のケイトリン・ローゼンタール氏が書いたように、最初の組織図――ニューヨーク・アンド・エリー鉄道の1855年の図――は驚くほど近代的だった。組織図は人為的ではなく有機的に見え、トップダウンの権限の前提を覆していた。ローゼンタール氏は、この構造は「一番良い経営データを持ち、現場に近く(略)なかなか消えないラインの非効率性を管理する絶好の位置にいる」部門長に日々の権限を与えると書いている。

 新たな管理方法を模索しようとして、急進的な考えをする人たちは、ムクドリのさえずりや粘菌の分泌を研究した。どちらも正式なヒエラルキーがないのに、連動して動く。

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