2018年8月16日(木)

[FT]無料の社員食堂は若手のためになるか

FT
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2016/12/26 6:30
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Financial Times

 とある土曜の午後、私はサンフランシスコのマンションでソファに腰掛け、スプーンでアボカドの中身をくりぬいていた。アボカドは普通に、私がスーパーで買ってきたものだ。

 すると、ルームメートの友人の女性がため息をついて「グーグルがもっとアボカドを買ってくれたらいいのに」と、無料の社員食堂が自分の望みを予測できないとがっかりしていた。ハイテク企業の従業員の給料があれば数エーカー分ものアボカドを買えるだろうが、職場の文化が、ちょっと外に行って買い物させるようにはなっていないのだ。

 シリコンバレーの企業は、朝食、昼食、夕食と、深夜の宴会に必要な軽食をすべて提供する無料の社員食堂で知られている。食事の心配をしなくて済むことは、ミレニアル世代(1980~2000年ごろに生まれた層)にとって魅力だ。

 だが、若い従業員へのこの一見寛大な贈り物――高給と、クリーニングからマッサージまで幅広い従業員特典のうえに与えられるものだ――は、彼らを幼児化させることにもなる。若者は、親が子供に懸命に教えようとすることと正反対の教訓を学ぶ。つまり、自らきちんと食事を取ることに責任を持つのはよいことだという教えである。

■無料の食事は人を引き寄せるが……

 「ランチについて考えなくていいのは、すごくいい」。ニューヨーク在勤のリンクトインの法人営業マネジャーは、雇用主評価ウェブサイト「グラスドア」にこう書いた。同サイトでは、100人以上のリンクトイン社員が食事に言及している。

 ある匿名のフェイスブック社員は2015年1月の評価で、食料調達を恐れているように見えた。「無料の食事!!! これがどれほど気に入っているか、十分言い切れない。マジ人生を救ってくれた」

 グーグル共同創業者のラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏は同社の新規株式公開(IPO)前に潜在的な株主に宛てた2004年の書簡で、従業員の福利厚生をけちけちすることで「一文惜しみの百知らず」にならないと誓った。こうした福利厚生は、従業員の健康と生産性を高めることで長期的に会社の助けになり得ると両氏は指摘した。

 ほかのハイテク企業も、この考えをまねた。無料の食事は人材を引き寄せ、社員が時間を無駄にするのを防ぎ、食事の時間に交流するよう従業員を促しアイデアを生む助けになる――。でも、こうした主張は果たして、辻つまが合うのだろうか。

 グラスドアに書き込まれた評価は、ハイテク界の人々が正しいことを証明している。無料の食事は確かに従業員を誘い込む。だが、それに感謝している評価者たちはまるで救いがたく、大げさだ。3つのびっくりマークが子供っぽさを証明している。

 無料の食事で、人は時間を無駄にしなくなるのだろうか。恐らくそんなことはない。株主にとっては、証拠は曖昧だ。グーグル、フェイスブック、ツイッターは、無料で食事を提供する多くの企業に数えられるが、アップルとマイクロソフトは違う。長期的な生産性拡大はまだ、これらの企業の株価に反映されていない。

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