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最後まで貫こう ここがレギュラーへの分かれ道

春季キャンプが始まるまでの自主トレーニング期間は、選手にとって技術的な土台をつくり直す絶好のチャンスでもあります。シーズン中は本格的に着手できない打撃改造などに取り組む上で、肝心なのは我慢です。「この方法で正しいんだろうか」と不安や焦燥感に駆られても、一度やると決めた道を曲げずに貫き通せば、トンネルの先に光が見えてくるものです。

糸井移籍で外野のレギュラー枠に空き

糸井の移籍でチーム内のポジション争いが激しくなる=共同

このオフ、主力だった糸井嘉男外野手(35)が、国内フリーエージェント(FA)宣言をして阪神へと移籍しました。実績十分の糸井選手がチームから去ったことは、戦力面での打撃が大きいのは確かです。しかし、良い方向に考えれば、今のチームにとって最も欠けている選手間の激しい競争をもたらしてくれるメリットもあります。外野のレギュラー枠が空いたことによって、若手や中堅が目の前に転がっているポジションを先を争って奪いにいくことを期待しています。

奮起して殻を破ってもらわなければならない選手の一人が、来季で7年目を迎える駿太外野手(23)です。高卒ルーキーだった2011年に開幕スタメンを勝ち取ったほどの野球センスの持ち主ですが、ここ数年は打撃面で伸び悩み、レギュラー定着が期待された今季も打率1割9分2厘と不本意な成績に終わりました。レギュラーシーズンが終わってからは、打撃力向上のためのスイング改良に取り組んでいます。

左打者である駿太選手のスイングは極端にいえば、バットのヘッドが三塁側から一塁側のほうへグルッと遠回りしながら出てきます。外から内へひっかくような癖があるために打球にうまく力が伝わらず、中堅から左翼方向へかけては強い当たりがなかなか飛びません。沈む変化球を投じられれば、一塁ゴロになってしまう確率が非常に高いスイングです。それを直すために秋からの練習では、球に対してバットのヘッドを最短距離で直線的に出していくことに徹底的に取り組みました。

一つのことをやり通せるかどうか

改良を施したスイングで実戦の打席にも立ち、鋭い当たりやこれまでとは質の違う打球も飛ぶようになってきているので、本人も今はある程度の手応えを感じているはずです。ですが、ここで難しいのは飛躍的な改善を感じられなくなったときに、一つのことをやり通すことができるかどうかということです。

理想のスイングだと頭では理解していても体でうまく実践できないとき、求めているような結果がすぐに伴わないときはどうしても、イライラしたり不安になったりして、辛抱できずにせっかく始めた新しい試みをやめてしまいがちです。「これで合っているんだろうか?」と迷って、また違う方向に進みたくなるものです。

ですが、ここが我慢のしどころです。駿太選手の場合、入団からずっと打撃の試行錯誤を続けてきて「これをやっておけば間違いない。安心だ」という自分の核となるものをまだ見つけられていない。複数のコーチ陣で見て、明らかにスイングが良くなる方向に進んでいるわけですから、ここは声を大にして「結果なんてすぐには出ない。信じてやり続けてみよう」と言いたいのです。

オフは技術を成熟させるための期間

来季で7年目を迎える駿太(右)。打撃面で伸び悩むが殻を破ってほしい=共同

春季キャンプが始まるまでの12月、1月の自主トレーニングの期間、選手たちは監督やコーチの指導を受けることはできず、課題に対して自分一人で向き合っていかなければなりません。投手の生きた球を打つ機会に恵まれず、感触をつかみづらいマシン相手の打ち込みでは、弱気の虫が顔をのぞかせることもあるでしょう。習得しようとしている技術を成熟させるための大事なオフの間、いかに気持ちを切らさず、自身の目指す方向性を最後まで貫き通せるか。彼が来季、レギュラーを取れるかどうかの鍵を握っている部分だといえるでしょう。

駿太選手は俊足で守備範囲が広く、強肩が武器でもあるだけに、課題のバットで2割6分から2割7分の打率を残せれば、十分に中堅手のレギュラーを任せられる人材です。糸井選手の抜けた来季を勝負の年と見据えて、川端崇義選手(31)や宮崎祐樹選手(30)といった中堅どころの外野手も猛アピールをすることでしょう。チームが上位に進出するためにも、若手、中堅を巻き込んだ激しい定位置争いが繰り広げられることが理想です。来年2月1日のキャンプインと同時に、選手たちには「こいつら、今年は違うぞ」という姿を示してもらいたいと思っています。

(オリックス・バファローズ2軍監督)

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