静かに破綻していく新入社員たち

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2016/12/14 6:30
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リクルート、ライフネット生命などの人事責任者として20年以上、累計で2万人を超える就活生を面接してきた「プロ人事」、曽和利光さん。学生と若手社会人の双方をよく知る立場から、学生からは見えにくいカイシャの実情を解説します。第11回は「静かに破綻(はたん)していく新入社員たち」です。

■独りで抱え込むとトラブルを招く

いざ職場の一員になったときに備え、パソコンのスキルなどとはまた別の次元で、ぜひ皆さんに身につけておいてほしいのは、「周りの先輩や同僚をどう使うか」という考え方です。

曽和利光(そわ・としみつ) 1971年生まれ。 京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある(撮影協力=東海大学高輪校舎)

曽和利光(そわ・としみつ) 1971年生まれ。 京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある(撮影協力=東海大学高輪校舎)

先輩を使うだなんて無理だよ、と思いますか? ここで私が「使う」といっているのは、「うまくコミュニケーションをとって、業務を適切に分担する」という意味合いです。学生の皆さんを見ていると、チームで手分けをして仕事をすることに慣れていない人が少なくないと感じます。体育会や学生団体で組織の運営に携わっていたなら多少違うかもしれませんが、最近は体育会への参加者も減っているようです。

アルバイト先で同僚とずいぶん助け合っているけどなあ。そんな声も聞こえてきそうですが、バイトと社員では決定的な違いがあります。雇う側にとってみればバイトはいつ辞めるかわかりませんし、辞めさせることも簡単です。そうなると、仕事も基本的に自己完結していて、他の誰かに代わっても問題が生じないようにしてあるものです。社会人の仕事はそうではありません。一つ一つの業務のピースを組み上げてチームとしての成果を出す上では、「明日からこの業務は別の人が担当します」というわけにはいかないケースが大半です。そんなチームの一員になるからには、「どうやってうまく周りと分担するか」が特に重要だというわけです。

しかし、新入社員の立場にたつと、これはできそうでなかなか難しいことのようです。

つまらないことを聞いたら恥ずかしい、迷惑だといって怒られるかもしれない、自力で何とかしなきゃ――。皆さんがこんなふうに思う気持ちもわかります。それでも、黙っていて後でピンチに陥るよりは、早めに助けを求めるほうがずっとよいのです。要は「独りで抱え込むな」ということです。ここまで私が強調するのは、独りで抱え込んでしまったがために無駄な時間を費やしたり、トラブルを招いたりしてしまった事例を、たくさん知っているからです。

私のリクルート時代に、採用関連のイベントを開催するとき、新人に会場のセッティングや顧客への告知を任せたことがあります。その新人は告知の文言で悩み、何と当日の1週間前になっても案内状を発送していなかったのです。何でもっと早く困っているといえないのかと、がっかりしたことを思い出します。

先輩にしてみれば、「便りがないのはよい便り」ではありませんが、ピンチだと言われなければ特に問題がないと思うものです。そこで独りで抱え込み、人知れず静かに破綻していくのは最悪です。ピンチのときにはしっかり手を挙げて訴えてほしいし、わからないことは早めに尋ねてほしいのですが、これができない新人は残念なことにかなりいます。

早期内定のトリセツ 就活探偵団が突撃取材

著者 :
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,188円 (税込み)

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