インフラ途絶でもビル機能3日維持 東京駅周辺に新型防災拠点
東京大改造マップ2017-2020(1)

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2017/1/30 6:30
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日経アーキテクチュア

写真1 三菱地所が2016年4月にオープンした東京・大手町に立つグランキューブは、災害で水や電気などのインフラが寸断されても3日間はビル機能を維持する自立型システムを備える(写真:三菱地所)

写真1 三菱地所が2016年4月にオープンした東京・大手町に立つグランキューブは、災害で水や電気などのインフラが寸断されても3日間はビル機能を維持する自立型システムを備える(写真:三菱地所)

首都直下型地震や荒川氾濫による浸水など、東京は天災のリスクにさらされた土地だ。国際的なビジネス拠点として都市間競争力を強化するため、高機能な防災拠点ビルを中核としたエリア防災のネットワーク構築が進んでいる。

東京の都市間競争力に「エリア防災」という新たな視点を加える取り組みが大手町、丸の内、有楽町の「大丸有(だいまるゆう)」地域で進んでいる。中心になっているのは三菱地所。2016年4月には防災拠点ビル「グランキューブ」が竣工した(写真1)。

事務所と店舗からなる同ビルの南側には、星野リゾートが運営する日本旅館「星のや東京」が2016年7月にオープン。オフィス機能に加えて、国内外のビジネス来訪者を迎え入れる施設を大手町に備えた(図1)。

2012年に改正された都市再生特別措置法に基づく都市再生安全確保計画制度とリンクした「エリア防災ビル評価」で、ビル周辺の防災に貢献する「防災拠点機能ビル」にも認証された。

図1 グランキューブは大手町の連鎖型都市再生プロジェクトの第3次事業となる。日本旅館「星のや東京」(図中の「宿泊施設棟」)も隣接し、国際的なビジネス支援施設の整備に加えて、高度な防災機能を強化することで東京の競争力を高める(資料:三菱地所)

図1 グランキューブは大手町の連鎖型都市再生プロジェクトの第3次事業となる。日本旅館「星のや東京」(図中の「宿泊施設棟」)も隣接し、国際的なビジネス支援施設の整備に加えて、高度な防災機能を強化することで東京の競争力を高める(資料:三菱地所)

写真2 グランキューブの設計者。先端の防災機能を盛り込んだ三菱地所設計の松田貢治氏(左)と海野宏樹氏(右)(写真:日経アーキテクチュア)

写真2 グランキューブの設計者。先端の防災機能を盛り込んだ三菱地所設計の松田貢治氏(左)と海野宏樹氏(右)(写真:日経アーキテクチュア)

グランキューブの実力は、大手町地区全体のBCP(事業継続計画)に貢献する防災機能にある。三菱地所設計建築設計三部兼デジタルデザイン室の松田貢治副部長は、「災害時にインフラが全て途絶えても、ビル機能を3日維持できる」と説明する(写真2)。

想定するインフラ寸断は「電気」「上水」「下水」だ(図2)。

電力は中圧ガス(都市ガス)を活用したコジェネレーションシステム(CGS)で発電する。仮に都市ガスが途絶えた場合にも、4階に設置した非常用発電機で敷地内に備蓄した重油を燃焼させて72時間の電力供給を可能にしている。上水断絶には井戸水で対応する。ろ過設備で飲料可能な水質まで浄化できる。下水処理の施設も備えた。建物内のトイレ洗浄水や雑排水を地下に送って浄化する。処理した水は敷地の東側を流れる日本橋川に放流する。

図2 賃貸収入が見込める地上階にあえて防災センターや電気設備を配置。ゲリラ豪雨による荒川氾濫への防災的な配慮から重要施設を高い位置に配置する設計とした。地下に置いた地域冷暖房施設(DHC)や下水を処理する汚水浄化設備には重厚な水密扉を設置して水の浸入を防ぐ(資料:三菱地所、写真:日経アーキテクチュア)

図2 賃貸収入が見込める地上階にあえて防災センターや電気設備を配置。ゲリラ豪雨による荒川氾濫への防災的な配慮から重要施設を高い位置に配置する設計とした。地下に置いた地域冷暖房施設(DHC)や下水を処理する汚水浄化設備には重厚な水密扉を設置して水の浸入を防ぐ(資料:三菱地所、写真:日経アーキテクチュア)

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