フルスイングの余韻(山崎武司)

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この選手にこの年俸? 相次ぐFA大型契約への疑問

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2016/12/11 6:30
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こうした上積みこそがFAの強みといえばそうなのだろう。僕がどうこう言おうが、もらえなかったヤツのやっかみと言われればそうかもしれない。だが行きすぎた大型契約に副作用があることは指摘しておきたい。

複数年契約、選手に甘え出る場合も

巨人の入団会見で高橋由伸監督(中央)とポーズをとる山口俊(左)と森福=共同

巨人の入団会見で高橋由伸監督(中央)とポーズをとる山口俊(左)と森福=共同

複数年契約を結んだ選手にはどうしても甘えが出る。3年契約を結んだ選手であれば、1~2年目に活躍して3年目にこけるよりは、とりあえず3年目だけ活躍して新たな契約を勝ち取れればいいと考えるようになる。1~2年目の序盤に調子が悪いと、あきらめが早くなってしまうのもよくあることだ。過去の大型契約では期待通りの活躍をした選手よりも、期待外れに終わった選手の方が多数派だということを思い出してもらいたい。

もう一つは他の選手とのバランスだ。岸が加入する楽天のエース則本昂大の過去3年の勝利数は14、10、11だった。投球回数も毎年200前後に達している。プロでの年数は違うが、近年の成績では則本に軍配が上がる。その則本は今季比5000万円増となる2億円で来季からの3年契約を結んだ。FAを考慮しても2人の年俸が倍も違うというのは、適正なバランスを欠いている感が否めないのだ。

FAで笑う選手がいる一方で、もう少し上げてもらったらと思う選手もいる。すぐに思いつくのは中日の岡田俊哉だ。貴重な中継ぎ左腕として57試合に登板し、11月には侍ジャパンのメンバーにも選ばれた。それなのに来季の年俸は4000万円と上げ幅は600万円にとどまった。勝ちがつきにくい救援投手の最大の評価は試合数であるべきだ。勝利のアシストという役割をもっとしっかりみてあげてほしい。

選手の中には口べたで、交渉が苦手というタイプもいる。本当なら代理人を使えばいいのだが、古い体質が残る日本球界では代理人を立てるだけで球団から煙たがられてしまい、交渉で主導権を握れない。僕は1億円を超える交渉は、すべて代理人でいいと思っている。FA権を行使して他球団の話を聞いてみたくても、宣言したら残留は認めないと公言する球団もある。これなども制度の意義を理解していない。そうかと思えば、さっさと解雇した方がいいベテランをいつまでもそれなりの年俸で置いておく「癒着」が散見される。

限られた原資、適正に配分してこそ

「経営が厳しい」という球団幹部は少なくないが、僕にいわせれば、自分で自分の首を絞めているチームも少なからずあるように見える。「誠意」の証しとして必要以上の年俸を払うより、限られた原資の適正な配分を重視したチームづくりを目指す球団が増えた方が、球界は健全な方向に向かうと思う。

(野球評論家)

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