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社内にLGBTの啓蒙組織 J&J

日本経済新聞社の「人を活かす会社」調査で総合首位(2015年は18位)だったジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)グループはダイバーシティー(人材の多様化)経営に力を入れている。その一環で「LGBT」と呼ぶ性的少数者の社員が働きやすい職場環境の整備を進めており、「ダイバーシティ経営」の分野では15年の17位から4位に浮上した。

社内カンフェレンスを開き、人材の多様性について社員が議論した(11月、都内)

11月15日、東京・飯田橋のイベント会場でJ&Jの社内組織「オープン・エンド・アウト」が約200人の社員を集めて催しを開いた。大学教授やLGBTの当事者である女性ら4人がダイバーシティーをテーマに議論した。

オープン・エンド・アウトはLGBTへの差別をなくし、理解を促すために活動している米本社発のグループだ。LGBTの社員が社内にコミュニティーを築いたり他の社員に知ってもらうための講座を開いたりしている。米国、カナダにつづいて昨年10月、世界で3番目に日本法人でも活動が始まった。

人事部に勤める30代と40代の2人の男性社員が交わした会話がきっかけだった。「米国でやっている活動を日本でもできないか」。2人はLGBTの当事者で、社内に理解を広めたいと感じていた。

日本での活動開始に関わった40代の社員は「オープン・エンド・アウトが社内にあることで、安心して働けている」と話す。J&Jに転職する前の職場では、上司からしばしば「いつになったら結婚するのか」と尋ねられることが苦痛だった。

自分が当事者であることを明せず、ウソをつきながら仕事をしなければいけないことに強いストレスを感じていたという。「J&Jは能力があれば個人を尊重し、受け入れる仕組みが整っている」と安心した表情で語る。

昨秋にこの社員ら8人で活動が始まり、現在は50人が参加するまでに育っている。会社も活動費を補助するなどして支援している。どんな活動をするかは原則自由で、経営陣から内容の指示を受けることはない。

参加者はLGBTの当事者ではない社員が半数以上を占める。LGBTの友人を持つ社員や、将来生まれてくる子供がLGBTかもしれないと考えて参加する社員が多いという。性別や年齢、職場や職位も様々だ。

参加者は月に1度、東京都千代田区にある本社の会議室に集まる。啓発する催しを企画するほか、情報発信のために社内のニュースレターも不定期で発行している。

人事統括責任者の坂口繁子氏は「人にはそれぞれ目に見えない『違い』があることを社員に理解してもらうことで、会社の人材の多様性が高まる」と狙いを語る。

同社は11月1日、異性と結婚した社員だけに支給していた配偶者手当を同性のパートナーを持つ社員も対象にした。結婚祝い金など福利厚生の受給の対象も同様に拡充した。

従業員がLGBTに関する意見を言える機会はオープン・エンド・アウト内にとどまらない。J&Jではセクハラやパワハラなどあらゆる悩みを相談できる窓口を社内外に設けている。

女性社員の活躍も後押ししており、管理職に占める女性の比率は約20%に達している。妊娠中の女性を簡易的な業務に配置転換したり有給の看護休暇制度を整えたりすることを通じて、20年までに女性管理職の比率を30%まで高める目標を掲げている。男性社員には育児休暇制度の利用を促している。

仕事と私生活の両立も積極的に後押しする。社員に始業・就業時刻の判断を任せるフレックスタイム勤務制度や介護や育児のために年間20日まで取得できる在宅勤務制度も導入した。

ただ坂口氏は「制度だけ作っても活用されなければ意味がない。多様な人材が活躍できる職場になるようにリーダーが働きかけていくことが大事」と強調する。管理職への研修では、リーダーシップをどう発揮すれば多様な人材が広がる風土になるのかを体験講座の形式で議論している。

(企業報道部 柴田奈々)

[日経産業新聞2016年12月1日付]

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