/

夢の80切り達成へ一歩先行くラウンド術(下)

 新宿「TAIKANZ GOLF(タイカンズゴルフ)」のヘッドコーチ、三觜喜一プロは神奈川・小田原を本拠地にして多くのジュニアをトップアマに育ててきた。辻梨恵選手ら今やツアーで優勝を狙えるプロも育てる注目のプロコーチだ。そんな三觜プロに80切りを達成するためのラウンドレッスンを指南してもらった。今回は連載の最終回で、実際に「TAIKANZ GOLF」で実施されるものをオーナーである増田秀俊さんに実施、アマチュアにとって目からウロコが落ちる新常識ばかりだった。
(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.32」から)

午後はインコースの10番、388ヤードのパー4から。上っていく長いミドルホールだ。三觜プロが言う。

「このホールが小田原湯本で最も難しいホールです。なので、インからスタートしたくない人が多いですね。このホールを何とかボギーで切り抜けたいです」

フェアウエー正面には堂々たる松の一本木が立っている。この松の木を越すには230ヤードは飛ばさないといけない。三觜プロの指導で飛距離が出るようになった増田さんの見せどころだ。

ドライバーを思い切りよく振ったものの少し弾道が低かった。しかもフックがかかって左ラフに入る。思うような距離は稼げなかったが、松の木は邪魔にならない。打ち終わった増田さんに三觜プロが一言。

「ボールの後ろに立ったときに、弾道をイメージしてください。そうして目標を空中においてください。増田さんはフェアウエーに目標を取るので目線が下がってしまい、弾道が低くなってしまうのです」

ドライバーのティーショットも打つ前に弾道をイメージし、打ったらボールを目で追わずに、その弾道もイメージするということかもしれない。

増田さんはクリークを使ったセカンドショットがラフに負けて飛ばせず、このホールをダボにしてしまった。ボギーでもよしのホールなので、ダボで我慢となる。

11番ホールは475ヤードのパー5。見るからにフェアウエーが狭い。右は土手、左は崖で1ペナ。右の山裾狙いがセオリーであり、増田さんはまさにその通りに打った。だが、ラフで止まってしまい、下に落ちてこない。8番アイアンでレイアップし、フェアウエーに戻す。3打目はピンまで90ヤード。サンドウエッジでは届かないので、必然的にアプローチウエッジとなるが、フルショットは100ヤード飛んでしまう。そこで増田さんが三觜プロに尋ねる。

「9割のスイングでいいですか?」

これに対し、三觜プロは「いえ、フルスイングでいいので、インパクトで止めてください」と答える。

結果は距離ぴったりのナイスオンで簡単にパーが取れた。

「9割のスイングというと、どうしてもスイングを緩めてしまい、ダフリやトップといったミスが出てしまう。なので、フルスイングがいい。でも、飛ばさないために、インパクトで止めてしまうのです。振っても飛ばないテクニックを覚えることはとても大事なことです」

ゴルフは何でも飛ぶほうがいいと思いがちだが、飛ばないほうがいいということもあるのだ。飛ばないテクニックは上級者には必要ということだろう。

12番、360ヤードのパー4はやや左ドッグレッグのホールだが、ティーショットの狙いは左山裾。ドローが持ち球の増田さんは狙い通りに打ち、セカンドではナイスオンでパーを取った。このセカンドショットはつま先下がりのライだったが、打ち終わった後で三觜プロのアドバイスがあった。

「つま先下がりはセオリーでは右にスライスするといわれますが、増田さんはうまくドローを打ってグリーンに乗せました。実は上級者は先に話した左足下がり同様にフックが出やすいライなのです。なぜなら、アドレス時にヘッドのトウ側が上がるので、ライ角がアップライトになり、打球は左に飛んでしまいます。なので、このライではアドレスでいつもよりボールに近づいて、前足下がりのライにヘッドのソールが傾斜に沿うようにします。ライ角を地面に合わせるわけです。こうすれば左に飛ばずに目標に打ちやすくなります」

増田さんはこれまでの経験からドローが出るイメージで打ったのでうまくいったが、真っすぐに打てればそれに越したことはないだろう。

13番は164ヤードのパー3。打ち下ろしだが、風がアゲンスト。増田さんは8番アイアンで打ったが、風に押されてグリーンに届かない。三觜プロが言う。

「フルスイングすると、スピンがかかって高い球になる。アゲンストに一番弱い球。こういうときはどれだけ早くグリーンに落とすかが勝負。160ヤードのアプローチを打つ感じで、6番アイアンぐらいでハーフスイングにして、抑えたボールにしたかったですね」

そして、30ヤードのアプローチ。

「ここはグリーンが左から右に傾斜しているので、フック回転をかけたランニングで打ってください」と三觜プロ。

増田さんはピッチングウエッジでカットには打たず、クローズスタンス、クローズフェースでフックをかけたアプローチを放った。うまくピン2メートルに寄せ、これを入れてパーとした。

「三觜プロのタイカンズでのレッスンで、フックのアプローチを習っていたのでできました」と笑顔の増田さんだった。

そして迎えた14番は355ヤードと短いパー4。右は山裾、左は林がせり出している。しかも1ペナ。増田さんはドライバーかクリークで悩んだ末、ドライバーで打った。結果は右へ大きくプッシュスライス。何とOBまで行ってしまった。打ち直しは右のラフ。ここから乗せられず、5オンしたが、痛恨の3パットでダブルパーの8をたたいてしまった。

「大たたきしてしまうホールが1ホールはあるんです。それで80が切れない」と嘆く増田さん。三觜プロが分析する。

「ここもロケーション負けですね。左の林が気になって、右に打ち出してしまう。左が嫌なロケーションを克服しないといけませんね。午前中も言いましたが、こういう場合は頭の中から左サイドを消すこと。それと、短いホールだったのですから、クリークでしっかりと振ったほうがよかったですね。フックしても林までは届かないでしょう」

しかし、増田さんはこのホールを引きずらない。15番409ヤードのパー4で、ティーショットを絶対に落ちてくる右の山裾に打ち、130ヤードのラフからのセカンドで見事グリーンをとらえてパーを取った。

増田さんは笑う。

ラフのショートアイアンはフライヤーを計算する

「打つ前に三觜プロから手前から速いグリーンなので、バンカーを超えるだけの番手で打ってくださいと言われ、9番からピッチングウエッジに持ち替えて大正解でした。ラフからだったので、フライヤーもしたため、ピッチングでちょうどでした」

このホールでは他にバンカー手前のラフから飛ばないアプローチを三觜プロが伝授。サンドウエッジのフェースをウンと開いて思い切り振ると、高く上がるだけで距離が出ない。これもまた「振って飛ばない」という上級者にとって大事な技術であった。

16番は351ヤードのパー4。やや打ち上げだが、増田さんにとってはドローが打ちやすいホール。セカンドもうまく打ち、パーとした。

17番は140ヤードのパー3。グリーンの右サイドが崖。増田さんはドローでうまく攻めるが、グリーンを少しこぼして左のラフ。2オン2パットのボギーとなった。

そして、18番、304ヤードと短いパー4の最終ホール。増田さんはドライバーでナイスドローを放ち、ベスポジとなるフェアウエー左サイドをキープ。セカンドは打ち下ろしの100ヤード。三觜プロがすかさずアドバイス。

「こういう打ち下ろしはどうしても力を緩めてしまってショートしやすいです。100ヤードを打つのだと強く思ってしっかり打ってください」

結果は何とピンに30センチに寄るスーパーショット。あわやイーグルというOKバーディーだった。こうして、後半のインも増田さんは41。アウトの41と合わせてトータル82。タラレバを言ってはいけないが、ロケーション負けがなければ確実に70台であがれたに違いない。

増田さんが笑う。

「いえいえ、三觜プロのアドバイスがあっての82です。80切りは少しのミスも許されませんね。でも、今日のレッスンを肝に銘じて、近いうちに念願の70台を出したいと思います」

どこかのゴルフメーカーのキャッチフレーズではないが、「明日は、きっと、できる」。三觜プロの顔にはそう書いてあった。

(本文:本條強)

 三觜喜一(みつはし・よしかず) 1974年12月29日生まれ。172センチ、78キロ。三觜ゴルフスクールを主宰。日本プロゴルフ協会認定ティーチングプロA級。2014年日本プロゴルフ協会ティーチングプロアワード功労賞受賞。99年からジュニアを精力的に指導し、体の使い方を覚えさせるトレーニングにより、けがをしにくいスイングづくりを行っている。辻梨恵プロ、和田みな子プロら多くのプロを指導するツアーインストラクターでもある。
 増田秀俊(ますだ・ひでとし) 1959年3月19日生まれ。168センチ、67キロ。ライフウェル代表取締役。欧米においてライフスタイルの一つとなったフィットネスを普及させるため、独自のフィットネス事業形態を開発している。現在は「リヴィタップ」「ライフウェル」「ヨギスタイル」「TAIKANZ」など首都圏に9店舗を経営。「フィットネスのイノベーションを通じ、誰もが生涯、健康で心豊かな生活を送ることができる社会の実現」を目指している。ゴルフは50歳から始める。

書斎のゴルフ VOL.32 読めば読むほど上手くなる教養ゴルフ誌


出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,404円 (税込み)

クラブを正しく使えばもっと飛ぶ!! (日経プレミアシリーズ)

著者 : 関 雅史
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 918円 (税込み)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン