2019年8月23日(金)

オプジーボを超えるか ライバル薬承認へ

2016/11/25 6:30
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米製薬大手メルクのがん免疫薬「キイトルーダ」が日本でも肺がんに使用できる見込みとなった。肺がんを対象にした免疫薬では、小野薬品工業の「オプジーボ」が先行して使われている。薬同士の競争は将棋と同様に「先手有利」といわれている。キイトルーダはその定説を覆すのか。

米製薬メルクのがん免疫薬「キイトルーダ」が日本でも肺がんに使えるようになる

米製薬メルクのがん免疫薬「キイトルーダ」が日本でも肺がんに使えるようになる

「キイトルーダについては、特に異論は出ませんでした」

24日、厚生労働省の医薬・生活衛生局の担当者はこう述べ、専門家会議でキイトルーダを肺がんの治療に適応拡大することについて了承されたことを明らかにした。年内にも厚労省が正式に承認する見通しだ。

キイトルーダは患者の免疫を活性化してがんを治療する薬で、米国では2014年9月に承認された。16年1~9月の全世界の売上高は約9.2億ドル(約1030億円)。メルクは日本での承認をはずみにして売り上げを伸ばしていく考えだ。

だが、キイトルーダより先に、がん免疫薬の代表格になっている薬がある。それが小野薬品工業のオプジーボだ。医薬品同士の競争では、先に発売された薬の方が有利といわれている。医師は使い慣れた薬を継続して使う傾向があるからだ。

キイトルーダの活路は抗がん剤治療の初期段階(1次治療)で使用できる点にある。専門家会議に提出された試験の結果が良好だったため、1次治療での使用が認められた。

一方、オプジーボは別のがん治療薬を試した後(2次治療)でないと使えない。世界をみると、がん免疫薬を初期から使用することが検討されており、キイトルーダが1次治療で使えるのは、オプジーボに対する大きなアドバンテージになる。

ただ、1次治療の需要を総取りできるわけではない。キイトルーダは事前検査で効くタイプかどうかの判断が必要で、そのタイプの肺がん患者は全体の2~3割とみられる。現状では、その4割近くは英アストラゼネカの抗がん剤「イレッサ」などが第1選択となる。キイトルーダは1次治療の1~2割の需要しか取れない可能性がある。

しかも、2次治療でキイトルーダを使う場合でも事前検査が必要だ。2次治療を行う患者のうち、キイトルーダを使えると判断されるのは6~7割にとどまるとみられる。2次治療では、事前検査が不要で、医師に慣れ親しまれているオプジーボが選ばれやすい。

キイトルーダを待ち受ける壁は高い。それを乗り越えるには、他の薬との併用で効果があがるなどのメリットを示す必要がありそうだ。

(企業報道部 野村和博)

[日経産業新聞11月25日付]

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