2019年3月26日(火)

[FT]トランプ外交で中東に危機 米ロ接近、和平に壁
EU諸国と亀裂も

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2016/11/20 3:30
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今夏以降、トルコがロシアに接近してシリア内戦の流れが変わったように、トランプ氏とプーチン氏による米ロ関係の仕切り直しは、曲折を経ながらも中東情勢を変えるだろう。例えば、トランプ政権が中東政策で方針転換するとすれば、それはイランかもしれない。イランが核兵器を開発できない水準にまで核開発の規模を縮小するため、米欧など6カ国が昨年、イランと結んだ合意を激しく批判してきたからだ。

しかし、この合意を米政府は簡単には破棄できない。国連安全保障理事会が06年に制裁決議を採択したが、今年、制裁終了を決めたためだ。むしろ、米国としては米財務省がイランに今も科し続けている制裁を強化する方が簡単だろう。ただ、もし米財務省がイランとビジネスをしているとの理由から西側諸国の金融機関を米銀の送金システムから締め出せば、同諸国の反発を招く恐れがある。

さらにウクライナ問題でロシアに科している制裁まで解除するなど米国がプーチン氏にすり寄れば、EUを敵に回すことになる。

■パレスチナの対立、イスラエル寄りに

イスラエルの問題もある。オバマ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相はしばしば対立してきた。それだけにあまり認識されていないが、オバマ政権はイスラエルに米国史上最大の軍事支援を与えるなど、極めてイスラエル寄りだった。1967年の第3次中東戦争でイスラエルがヨルダン川西岸を占領して以来、米政権に就いた9人の大統領のうち、イスラエルが国連安保理の非難決議を受けないよう拒否権を発動したのはオバマ大統領だけである。トランプ氏でさえ、これ以上イスラエル寄りになるのは難しいと思われる。

だが、トランプ氏はネタニヤフ政権の失地回復主義にさらに手を貸すことになりそうだ。同氏と彼の顧問たちは、イスラエルがヨルダン川西岸を併合し、エルサレムをイスラエルの首都にするのを認めていいと考えているようだ。そして、パレスチナ自治区のガザを実行支配するイスラム原理主義組織ハマスと、レバノンのイスラム教民兵組織ヒズボラを新たに攻撃するよう働きかけるだろう。

ベネット教育相などイスラエルの極右の閣僚は、大統領選でトランプ氏が勝利したことでパレスチナ国家樹立に関する議論に終止符が打たれるかもしれないと喜んでいる。パレスチナ自治区全域をもイスラエルに取り込むべきだとする「大イスラエル主義」(編集注、エジプトからユーフラテス川までの地が神からユダヤ人に与えられたとの旧約聖書の記述から、この範囲を自分たちの本来の領土としてこう呼んでいる)の信奉者にとっては、次期米大統領が反ユダヤ主義者たちと関係を築いていることなどよりずっと重要なのだろう。

By David Gardner

(2016年11月16日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版)

(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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