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フィーゴ氏「努力・献身・栄光が活動の原点」
プレー動画投稿サービス、少年・少女を強豪クラブに橋渡し

2016/11/12 10:27
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1990~2000年代のサッカー界の英雄、ルイス・フィーゴ氏(ポルトガル、44)が、有名クラブとサッカー少年・少女を仲介するサービス「ドリーム・フットボール」を立ち上げた。スマートフォン(スマホ)の専用アプリを通じ、撮影した動画を投稿してもらう。「選手スカウトの新しいプラットフォーム」にするのが目的だ。目標は1年間で1億会員。共同創業者としてビジネスの世界に本格進出した"起業家"フィーゴ氏に戦略を聞いた。

――動画投稿サービス運営会社の共同創業者になった理由を教えてください。

サッカー選手から起業家に転身したルイス・フィーゴ氏(リスボン)

サッカー選手から起業家に転身したルイス・フィーゴ氏(リスボン)

「サッカーを愛する子どもは世界中にいる。サッカーに新たな経済価値を生み出し、プロ選手になる夢を抱く子どもたちに機会をつくりたい」

――ビジネスの醍醐味とは。

「デジタル技術で以前は不可能だったことができる。子どもたちの夢の手助けをし、彼らが夢をかなえることだ。そのためにもこのプロジェクトを成功させたい」

ドリーム・フットボールは無料で会員になることができ、親が我が子を、または子どもが友達同士でプレーする動画を撮影・編集しシェアするアプリだ。友達でプレーを見て楽しむ遊びの要素も取り入れてある。「これまで埋もれてきた子どもたちも置き去りにしない」(フィーゴ氏)を合言葉に、クラブのスカウトが足で稼いできた人材発掘とは異なるルートを提供する。

――起業家として心がけていることは何ですか。

「常に好奇心を持つこと、スマートな友人を持つことだ。これまで起きたよいことすべては友人が呼び込んでくれ、彼らは私を助けてくれた。人生は教訓に満ちている。日々ものごとを改善していければ、物事はうまくいく」

――フットボーラーと起業家の違いは。どちらがよりエキサイティングですか。

「これらは異なる領域だ。フットボーラーは自らのスキルを磨き続ける。起業家は自らのアイデアや設計図を磨き、ビジネスを成功に導こうとする。ともにリスクはつきものだ。しかし、楽なところで安住しているとしたら、ビジネスの方がよりリスクがある」

――事業では、マネジャーやコーチはいませんね。

フィーゴ氏らが立ち上げたプレー動画投稿アプリ「ドリーム・フットボール」

フィーゴ氏らが立ち上げたプレー動画投稿アプリ「ドリーム・フットボール」

「そうだ。今のところは仲間との事業だ」

共同創業者のジョアン・グエラ氏は「野心的だが1年間で1億会員をめざす」という。さらに「半分は欧州クラブの人気があるアジア」と明かす。ただ現時点で英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語のみで、アジア言語での対応はない。「アジアでも英語で対応できる人が使ってくれるだろう」とグエラ氏はみる。欧州クラブでの活躍を見据えれば、簡単な欧州系の言語はクリアしてほしいとの思いも透ける。

――事業戦略と、アジアの関わりを教えてください。

「今は欧州での事業展開で助けてくれる会社はあるが、将来はグローバルスポンサーを探すことになる。まず(投稿動画の)アップロード件数と閲覧者を増やし、その後にメーンスポンサーと広告のことを考えていく。今は第1段階に力を注いでおり、その後に次の投資のステップに行く」

――スポンサー候補との接触は。

「まだだ。まだ立ち上げたばかりだからね」

――最近は中国の投資家が欧州の著名クラブを買収しています。あなたが所属したインテル・ミラノ(イタリア)もそうです。

「(少し苦笑して)これがグローバル化だ。アジア企業の力と、サッカーへの愛情がクラブ買収や他社の買収にせき立てている」

――中国企業もドリーム・フットボールのスポンサーになりえますか。

「我々はオープンだ。今のところは資金をすぐ欲しているわけではないが」

――昨年には国際サッカー連盟(FIFA)の会長選に立候補を表明しました(最終的には取り下げ)。この先、サッカー界にはどうかかわりますか。

「私は今どのクラブとも関わっていない。インドでフットサル事業、中国ではアカデミーをしている。そして米フロリダでは新たに(児童・学生向けの新たなトーナメント)『インターナショナル・ビジビリティー・プログラム』を始めたところだ」

――また会長選に出ることは考えていないと。

「将来何が起こるかはわからないよ。まだ会長は選ばれたばかり。今の会長にしっかり仕事をしてもらう時間はたっぷりある」

フィーゴ氏は母国の首都リスボンで開かれた欧州最大級のネットビジネスのイベント「ウェブ・サミット」にあわせてドリーム・フットボールの概要を発表。8日にはメーンステージの最後に登場し、選手時代の経験に基づき、ビジネスでも「好きなことをする」「ゴールに向かって全力で物事にあたる」と訴えた。

そして活動の原点になる考えが「エフォート(努力)、デディケーション(献身、ひたむきさ)、デボーション(同)、そしてグローリー(栄光)」。若い時代に在籍したポルトガルの強豪スポルティング・リスボンのモットーだ。この言葉を聞くと、会場の聴衆は一気に盛り上がった。誰でもどこでも使えるスマホの特性を生かしサッカーの新たな可能性を広げることができるか。ポルトガルの英雄がビジネスの世界で船をこぎ出した「大航海時代」の今後に注目だ。

(リスボンで、加藤貴行)

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