「eスポーツ」チーム続々買収、米プロスポーツ界の思惑
渡辺史敏 ジャーナリスト

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2016/12/6 6:30
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日経テクノロジーオンライン

複数のプレーヤーによるコンピューターゲームでの対戦をスポーツと捉える「eスポーツ」と、リアルのプロスポーツチームが急接近している。米国などでプロスポーツチームによる、eスポーツチームの買収や出資などが相次いでいるのだ。その狙いは何なのか、スポーツ業界の思惑を探った。

eスポーツで使われるゲーム「Heroes of the Storm」の画面(出典:Blizzard Entertainment)

eスポーツで使われるゲーム「Heroes of the Storm」の画面(出典:Blizzard Entertainment)

2016年9月26日、米プロバスケットボールリーグNBAのフィラデルフィア・76ersが、Team DignitasとApex Gamingという2つのeスポーツチームを買収したことが明らかになった。

その翌日の9月27日。eスポーツチームのTeam Liquidが、殿堂入りを果たした元NBA選手で、現在はメジャーリーグ(MLB)のロサンゼルス・ドジャースのオーナーの一人であるマジック・ジョンソン氏、さらにドジャースのオーナーの一人でNBAのゴールデンステート・ウォリアーズも所有するピーター・ガバー氏などの投資グループに、チームを身売りしたと発表した。

さらに遡れば、2016年3月17日にはMLBのニューヨーク・ヤンキースを今シーズン半ばに引退したアレックス・ロドリゲス氏や元NBAスター選手のシャキール・オニール氏などの投資グループが、2つのeスポーツチームをマネジメントするNRG Esportsに出資している。

欧州では独ブンデスリーガのFCシャルケや英プレミアリーグのマンチェスター・シティ、ウェストハムといった有名サッカークラブによるeスポーツのチームや選手との契約が続いている。

なぜ、このようなスポーツチーム、関係者によるeスポーツへの参入がブームになっているのだろうか。それを読み解くにはまずeスポーツの状況を理解する必要がある。

■生涯獲得賞金2億円超のプロ誕生

eスポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、複数の選手(ゲーマー)によって競われるパソコンや専用機向けゲームの対戦を、スポーツと捉えたものである。

始まりは1990年代の終わり頃。賞金が出る大会も開かれ、それを目当てにするプロゲーマーも出現するようになった。2000年代に入ると、国策的にeスポーツの普及を進める韓国を中心に少しずつ市場が拡大していったが、2014年以降は米国と中国の市場が急成長を見せているのである。

ゲーム産業に特化した市場調査企業である米Newzooが2015年に発行したeスポーツ産業白書「The Global Growth of Esports」によれば、2017年には世界全体の総収益は4億6300万ドル(約480億円)に達すると予想している。同社CEO(最高経営責任者)によれば、2016年の米国市場での収益は1億7500万ドル(約180億円)を見込んでいるという。

Newzooが2015年に発行したeスポーツ産業白書「The Global Growth of Esports」の最初のページ(出典:Newzoo)

Newzooが2015年に発行したeスポーツ産業白書「The Global Growth of Esports」の最初のページ(出典:Newzoo)

市場の拡大は、同時に賞金の出る大会、プロゲーマー収入の拡大も生んでいる。eSportsの賞金を集計しているサイト、esportsearnings.comによれば賞金総額が1000万ドル(約10億4000万円)を超える大会が過去に3つあり、最も高額だった「The International 2016」は約2077万ドル(約21億6001万円)だった。

また2016年10月上旬時点で生涯獲得賞金が200万ドル(約2億800万円)を超えているプロゲーマーが4人ほどいる。こうした流れのなか、日本でもプロゲーマーを集めたチームが設立され、活動している。

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