2019年8月18日(日)

ピコ太郎 関連動画で潤う

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2016/11/9 6:30
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ピコ太郎さんのPPAPでは、エイベックスがマネタイズを選択している。非公式とコラボレーションを認めたものを合わせた関連動画は7万件以上あり、再生回数は公式の6倍以上の5億回に達している。これらの広告フィーも、エイベックスとピコ太郎さんの収入となっているのだ。

コンテンツIDの技術そのものも劇的に進化している。米グーグル(現持ち株会社アルファベット)は、ユーチューブを傘下に収めた2006年以降、コンテンツIDに6000万ドル(約60億円)以上を投資した。照合技術が高度化し、動画の場合、ゆがみや反転、周辺に枠がついているといった加工をしても判別が可能だ。音声の場合は、速度やキーが変わっていても、オリジナルとの関連を見破る。

これにより、目視で判断し削除しか方法がなかった著作権の保護は「劇的に変化した」(グーグルの水野有平執行役員)。現在、コンテンツIDには世界中のテレビ局や映画会社、レコード会社など8000社以上が3500万以上の指紋を登録し、4億以上の動画をチェックしている。

コンテンツIDは日本でも活用が進む。著作権管理のネクストーン(東京・渋谷)は20社の1万5000曲を登録している。特に人気なのはアニメ系の楽曲で、好きな楽曲を編集したベスト盤的な作品や、自分の動画のBGMにして投稿していることが多いという。

ネクストーンは契約先に対して、コンテンツIDの活用を勧めている。権利者は部分的にブロックを選ぶ作品もあるが、大半はマネタイズを選ぶことが多いという。スマホでの動画視聴が一般的になってきた今はネットからの排除ではなく、「作品をネット上で広めるかを考えつつ、稼げるようにするほうが健全な状況」(伊藤圭介執行役員)になってきている。

作品によっては、関連動画がネット上で拡散することで宣伝効果が得られる場合もある。その場合、投稿者も作品の収益に貢献したともいえる。オリジナルの著作権者が利益を総取りするのは、行き過ぎなのではないか。Win-Winの関係を模索すべく、任天堂は折衷案に取り組む。

ゲーム関連で多い動画が、一般ユーザーがプレーしている画像の投稿だ。ゲーム画面や音楽は任天堂の著作物としてコンテンツIDでは任天堂の収益となっているが、同社は15年からプレー動画の投稿から得られる収入を投稿者と分け合う仕組みを取り入れた。

投稿者は事前に住んでいる地域や、支払先となるペイパルのIDを登録する。その上で動画をユーチューブに投稿すると、そこからの広告収入のうち6~7割を投稿者が得ることができる。日本ではスーパーマリオメーカーやゼルダの伝説、マリオカートなど多くの作品が対象となっている。

コンテンツIDはこれまで全世界累計で20億ドル以上を著作権者に還元した。ただ効果が出ているのは収益面だけではない。コンテンツIDではどこの地域で見られているかなどを把握できる。

例えばピコ太郎さんのPPAPの場合、なんと東アフリカのウガンダで動画再生回数が1位となっていることがわかったという。

想定外に見られているところが分かれば、マーケティング戦略に組み込むこともできる。アナログからデジタルに対応することは「オンラインビジネスの可能性が広がる」(グーグルの水野執行役員)ことにつながる。

新潮流の進化と多様化を、どう捉え、どう活用するか。新しいビジネスのタネがそこにある。

(企業報道部 堤正治、山端宏実、荒尾智洋)

[日経産業新聞 11月9日付]

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