生前退位、専門家ヒアリングの要旨一覧

2016/11/8 0:47
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■平川祐弘・東京大名誉教授(比較文学) 天皇は続くことと祈ることに意味がある。世襲制の天皇に能力主義的価値観を持ち込むと、皇室制度の維持は困難になる。退位せずとも高齢化の問題への対処は可能で、高齢の場合でも「摂政」の活用を認めればよい。

役割を果たせないから、それを絶対的条件にして退位したいという考えは、ちょっとおかしいのではないか。世間の同情に乗じ、特別法で対応するならば憲法違反に近く、良くない先例となり得る。休んでもらっても、象徴としての意義は後退しない。英国のように、皇族による公務の代行を考えればよいのではないか。

■古川隆久・日本大教授(日本近現代史) 公務の在り方は柔軟に考えるべきだ。負担軽減は、国事行為は臨時代行を活用し、公的行為は他の皇族が代行すればよい。退位は皇位継承の安定性確保のためには避けるべきだが、国民の意思として認めるなら、否定する理由はない。

退位を認める場合は、皇室典範改正で恒久制度化すべきだ。議論なしに陛下の意向を受ける形だと憲法に抵触しかねない。高齢のみを要件として退位を制度化すればよく、急ぐべきではない。退位される場合、公務は何もしない形になるべきだし、称号は上皇というより「前天皇」が適当ではないか。

■作家の保阪正康氏 人道的観点から考える必要がある。摂政については大正時代にさまざまな問題があり、天皇の存在の二重性が明らかとなり、天皇の存在が曖昧になった。特別法で退位を認めるとしても、皇室典範改正を前提としての法律でなければならない。

現行憲法と一体化、あるいはその精神とつながる皇室典範か皇室法が望ましい。皇室典範を皇室法と名を変えて、それに基づき特別法をつくるのと、特別法だけつくるのとでは意味が違う。(典範改正による退位の場合は)80、85歳の年齢で切って、天皇の意志や国民、政治を踏まえた第三者機関が調整する限定的な枠組みが必要だ。

■大原康男・国学院大名誉教授(近現代皇室制度論) 同じ天皇がいつまでもいるという存在の継続そのものが、国民統合の要になっている。公務負担軽減は、各皇族で分担し、量的軽減を図り、方式も随時改めるべきだ。生前退位の制度を導入するのではなく、皇室典範を改正し、高齢を理由とする場合にも摂政を置けるようにすべきだ。

臨時代行の要件に高齢を加え、法律から臨時という言葉を外すことで対応することもあり得る。世論は、陛下を楽にさせたいという心情が先行している。空気だけで判断していいのか疑問だ。天皇の制度自体が基本的人権の例外で、その例外の中で考える必要がある。

■所功・京都産業大名誉教授(日本法制文化史) 公務負担軽減は、工夫次第で相当に軽減可能と思うが、何より天皇陛下の意向を尊重する必要がある。象徴、世襲という天皇制度の役割を末永く継承するため、高齢化のみを理由に決心した問題提起を真摯に受け止める。意向に沿った現実的な法整備のため、特別法を迅速に整備すべきだ。時間的に可能ならば皇室典範第4条などの改正が望ましい。

公的行為は、それぞれの天皇の考えにより、異なってよい。終身在位以外に退位を可能にすることが重要だ。退位された場合の称号は「太上天皇」か、その略称の「上皇」が望ましい。〔共同〕

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