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引退の広島・黒田 大谷との勝負に感じた幸せ

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2016/11/8 6:30
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ただ、最後の1球を投じた打者が、投打二刀流で日本球界の次代を担い、自身同様に米大リーグで飛躍する可能性を秘める大谷になったことは、野球の神様の粋な計らいだったろう。現役最終登板で実現した大谷との対戦は3打席。計8球の真剣勝負で二塁打2本を浴びたが、すがすがしささえ感じたという。

黒田の現役最後の対戦は日本ハム・大谷(左)。すがすがしさを感じたという=共同

黒田の現役最後の対戦は日本ハム・大谷(左)。すがすがしさを感じたという=共同

「アスリートとして次元が違う。投げるのも見たし、打者としても対戦したけど、全てが一流なんてありえないと思っていたからショッキングだった」。一ファンとして今後の成長を見つめたいと願う22歳との充実した時間。「最後に投げた球が彼にだったといううれしい気持ちもある。自分の中ではいい思い出になるんじゃないか」と振り返った。

4日にマツダスタジアムで行われた引退記者会見。ユニホーム姿で会見に臨んだ黒田の目に涙はなかった。「涙はもういっぱい流してきたので、最後ぐらいはいいかな」と語る右腕の表情は晴れやか。日本よりも球数制限の厳しい米大リーグでは、カットボールなどを覚えて打者を打たせて取る投球術を身につけ、ドジャースとヤンキースで5年連続2桁勝利をマークした。

人一倍の責任感でローテを守ってきた

「野球を楽しいと思ったことは一度もない」と繰り返し、先発ローテーションをひたすら守り抜くことで、ベンチの信頼に応えてきた。人一倍の強い責任感でマウンドに上がり続けてきたからこそ「ホッとしたのが一番。解放感がある。現時点ではボールも持ちたくない」との言葉が説得力を帯びる。

球団は日本シリーズ後、黒田の背番号「15」を永久欠番にすると発表した。広島では山本浩二氏の「8」、衣笠祥雄氏の「3」に続く3例目。黒田は「15番の背番号を見たときに、今年のチームのリーグ優勝を思い返してくれれば、すごく幸せ」と素直に喜んだ。

昨オフ、悩みつつ今季の現役続行を決めたが、シーズン入りすれば長期離脱することなく10勝をマーク。25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。

ただ、肉体は限界に達していた。ドジャース時代の2009年に頭部に打球を受けた影響で首にはしびれが残るうえ、右肩痛にも苦しんだ。入念なマッサージは欠かせず、痛み止めの注射を何本も打ってマウンドに向かってきた。

「来年リーグ連覇をして、またもう一度、日本一にチャレンジしてもらいたい」と後輩たちにエールを送る。ぼろぼろの体を決して言い訳にせず、誰よりもマウンドに立ち続けることに誇りを持った背番号「15」の記憶は、右腕・野村祐輔ら若きチームメートの心にも、しっかりと刻まれたはずだ。

(常広文太)

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