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引退の広島・黒田 大谷との勝負に感じた幸せ

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2016/11/8 6:30
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広島の黒田博樹(41)が今季限りでの引退を表明して臨んだ最初で最後の日本シリーズ。チームは第6戦で敗れ、準備していた第7戦での登板はかなわなかった。本拠地マツダスタジアムで有終の美を飾る最高の幕切れとはならなかったが、満身創痍(そうい)で戦い抜いた右腕は充実感にあふれていた。

「恩返しするのは今」と米球界から広島に復帰した黒田。背番号「15」は永久欠番になる=共同

「恩返しするのは今」と米球界から広島に復帰した黒田。背番号「15」は永久欠番になる=共同

32年ぶり日本一の夢が消えた10月29日夜。この日はベンチ入りせず、球場内の選手食堂のテレビで戦況を見守っていた。歓喜と落胆の入り交じるマツダスタジアムの様子を真っすぐに見つめたまま、黒田はしばらくイスから立ち上がろうとしなかった。

調整してきた第7戦の先発マウンドは回ってこず、20年間の現役生活に幕を下ろす形になったが、それも「勝負事なので」。気持ちの整理をつけると、セレモニー参加のためにグラウンドに姿を現し「黒田さん、ありがとう」と声をかけるファンに帽子を取って笑顔で応えた。

現役最後の1球はカープで、の強い思い

「カープファンに恩返しをするのは今」と決断し、米大リーグ球団の高額オファーを蹴って古巣に復帰したのが2015年。黒田の願いは、現役最後の1球をカープのユニホームを着て投じるという思いだった。その「最後の瞬間」は10月25日の日本シリーズ第3戦。舞台は敵地・札幌ドームとなった。

黒田は一回に先制を許したものの、日本ハムの右打者にはシュート系のツーシームを駆使し、左打者にはカットボールで大胆に内角を攻めた。強気の投球がさえていた先発右腕が突然、変調を来したのは六回のことだった。

優勝報告会の中の引退セレモニーで、マウンドを見つめる黒田=共同

優勝報告会の中の引退セレモニーで、マウンドを見つめる黒田=共同

1死無走者で打席は3番・指名打者の大谷翔平。カウント1-1からの3球目。外角へのスプリットで左飛に打ち取ったところで、右ふくらはぎがつったという。

いったんベンチに下がったが、患部にテーピングを施して再びマウンドへ。だが、投球練習中に今度は両足の太もも裏側に張りを感じ、それ以上の続投を断念せざるをえなかった。チームの勝利を優先し、自主的に交代を申し出た黒田。そして、この日からチームは4連敗することになる。雪辱の機会は巡ってこなかった。

「なんとか日本一になるために投げたいと思っていたが、こればかりは勝負事なので思い通りにならない。最後の最後で勝負の厳しさを思い知らされた」と黒田。アクシデントによる緊急降板でプロ生活の幕を閉じることになり「まさかその球が最後の1球になるとは思っていなかった。もう少し長いイニングを投げたかった思いはある」と悔しさをのぞかせた。

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