2018年6月25日(月)

[FT]中国の買収、ドイツ「待った」
投資の流れ一方向 欧州の不快感映す

FT
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2016/10/30 3:30
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Financial Times

 中国の北京にある欧州連合(EU)商工会議所のイエルク・ブトケ会頭が指摘するように、中国は世界で企業を買収し放題だ。しかし、海外企業による中国企業買収となると、かなり趣が異なる。選択肢が少ない上、どれも事実上、不可能に近いからだ。

 だが、ドイツはここにきて中国企業による自国企業の買収に待ったをかけた。ドイツ政府は24日、中国の投資ファンド、福建芯片投資基金(FGC)が6億7000万ユーロ(約770億円)で半導体製造装置メーカーのアイクストロンを買収する計画を再審査すると決めた。中国国有化学大手の中国化工集団(ケムチャイナ)が440億ドル(約4兆6300億円)でスイスの農薬大手シンジェンタを買収する案も、規制手続きの関係で年内に買収を完了させられないことが10月下旬、判明した。これは欧州が一連の買収案件を見直しているということだ。

 欧州が中国企業による買収に警戒を見せ始めたのは、中国企業が海外で買収することに問題があるからではない。中国政府が外国企業に対し、持ち株比率への法的制限から複雑に入り組んだ規制、非公式な障壁まで様々な厳しい条件を設けているからだ。

 ドイツの中小企業だけが中国企業の買収対象ではない。大連万達集団(ワンダ・グループ)は米ハリウッドで買収を重ねており、中国の複合企業である海航集団(HNAグループ)は24日、米ホテルチェーンのヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスの株式25%を65億ドルで取得する計画を発表した。中国企業はもはや衣料品や玩具、電子機器などの生産だけでは満足できなくなっているのだ。

 日本が1980年代後半、国内の高い資産価格と低利で調達した資金にものをいわせ、世界で買収攻勢をかけたが、中国企業による買収の一部も同じ結末を迎えるだろう。日本企業は当時、どう扱えばいいか分からない資産を高値づかみし、問題に突き当たった。だが、ドイツの動きは買われる側としても、中国による直接投資の急増を深刻に受け止める必要があることを物語っている。

■手っ取り早く製造業を強化

 アイクストロン買収計画の見直しは、高度な技術を持つドイツ企業が相次ぎ買収された後に出てきた動きだ。ドイツの産業用ロボット大手クーカは今年、広東省の大手家電メーカー、美的集団に45億ユーロで買収された。中国企業は他にもドイツのコンクリートポンプ車や工作機械を手掛ける企業などを買収している。

 こうした攻勢は不思議ではない。中国政府は昨年、製造業を強化する10カ年計画「中国製造2025」を発表し工作機械、ロボット工学、航空宇宙、医薬品、IT(情報技術)など10の産業の先端分野に進出するよう自国企業に呼びかけた。自力でドイツや米国の先端企業に勝てないなら買収するしかないということだろう。

 これは不穏な話ではない。中国企業が海外企業の買収に乗り出すというのは、むしろ海外企業にとっては以前よりいい点がある。中国はこれまで、自国市場への参入を求める欧米企業には中国企業と合弁会社を設立させ、それによって参入の対価として技術を移転させ、「自主創新(独自技術の開発)」に火をつけることを目指していた。

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