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ワールドシリーズ、雌雄決する「愛すべき敗者たち」
スポーツライター 杉浦大介

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2016/10/25 6:30
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勝利の女神に見放されてきたチーム同士の対戦――。25日(日本時間26日)から始まる米大リーグの今年のワールドシリーズは、カブス-インディアンスの対戦となった。カブスは1908年、インディアンスは48年以降は"世界一"から遠ざかっていた、いわゆる「愛すべき敗者たち(Lovable Loser)」。米国内で大きな話題を呼ぶことは間違いないシリーズで、負の歴史を塗り替えるのはどちらか。

カブス、71年ぶりのワールドシリーズ

先発のレスターはサイ・ヤング賞候補の一人=共同

先発のレスターはサイ・ヤング賞候補の一人=共同

「ヤギの呪い(ビリー・ゴートの呪い)」について聞いたことのあるスポーツファンは日本にも多いだろう。45年のこと。シカゴで行われたワールドシリーズ第4戦を観戦に訪れた酒場の店主が、普段から連れていたヤギの入場をこの日に限って断られたことで激怒した。

「カブスは2度とワールドシリーズには勝てないだろう」

「ビリー・ゴート・タバーン」という酒場の店主はそう言い残し、実際にカブスは第4戦から3連敗でタイガースとのシリーズに敗れてしまった。

これだけなら古き良き時代を感じさせるのどかなエピソードだが、地元チームをこよなく愛するシカゴ市民は笑えない。それ以降、実際に何十年にもわたってカブスは勝てなくなってしまった。そして、そんな背景があったからこそ、今秋はシカゴのみならず、全米の多くのスポーツファンがカブスの一挙一動に注目しているのである。

実に71年ぶりにワールドシリーズに到達した今年のチームは、厄介な"呪い"を吹き飛ばすのに十分な力を持っているように見える。シーズン中から圧倒的な強さを発揮し、103勝は断トツのメジャー最高成績。プレーオフでもジャイアンツ、ドジャースという強豪を連破し、予想通りに最終決戦に駒を進めてきた。

先発ローテーションは2人のサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)候補、カイル・ヘンドリックス、ジョン・レスターと昨年のサイ・ヤング賞投手ジェイク・アリエッタが安定感を発揮。ブルペンには最速105マイル(約169キロ)の豪速球を投げるアロルディス・チャプマンが控え、相手を恐れさせるのに十分な陣容になった。

打線にも最優秀選手(MVP)候補のクリス・ブライアント、アンソニー・リッソー、アディソン・ラッセル、ハビアー・バイエスをはじめ、多くのヤングスターが敷き詰められている。若手が中心のメンバーに、過去2年の間に獲得されたベン・ゾブリスト、デクスター・ファウラー、デビッド・ロスらのベテランも重要なアクセントを添えてきた。

そんな隙のないチームも、今ポストシーズン中はすべてが順風満帆だったわけではない。ドジャースとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第2、3戦では2試合連続完封負けを喫し、1勝2敗とリードを許した。この時点で「敗北の歴史」が頭にちらつき、パニックを起こしかけたシカゴ市民も多かっただろう。

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