/

「資産形成で投信は重要」国際投信協会会長ら

日本経済新聞社は21日、東京・大手町の日経ホールで「グローバル時代の投資信託」(投資信託協会、日本証券業協会と共催)と題したセミナーを開催した。「変貌する投資信託とアセットマネジメントビジネス」をテーマとしたパネルディスカッションでは、米ハーバード大学のベンジャミン・フリードマン教授ら4人がパネリストとなり、投信の役割や課題について議論を交わした。(司会は小平龍四郎・日本経済新聞社編集委員兼論説委員)

ベンジャミン・フリードマン氏

――投信が社会や経済で果たすべき役割をどう考えますか。

フリードマン氏「重要なのは預金に代わる手段として家庭の資産形成を促進することだ。先進国の経済成長は鈍化しており、(金利低下で)資産運用のリターンは小さくなっている。その中で引退後に備えて収益を得るために投信が果たすべき役割は大きい」

渡辺国夫氏(野村アセットマネジメント社長)「運用会社、個人投資家、上場企業による好循環を生み出すことが重要だ。運用会社は企業と対話を進め、企業は対話やガバナンスの強化を通じて稼ぐ力を高める。個人投資家は稼ぐ力を高めた企業に投資し(値上がり益や配当で)運用資産を増やす。個人が投資の成功体験を積めば好循環はより描きやすくなる」

渡辺国夫氏

――個人投資家の信頼を得るためには、運用会社自身の企業統治や、受託者責任も大事になってきます。

ポール・スティーブンス氏(国際投資信託協会会長)「米国では投信のファンドマネジャーが議決権行使の基準を明確にし、投資先の株主総会でどんな判断をしたか開示しなければならない。これは世界でも米国だけではないか」

渡辺氏「野村アセットは4月に受託者責任に関連する専門部署を作った。1年に5000回ほど企業と接点を持つが、このうち個別ミーティングが2000回に達する。ミーティングでは事業や財務に関する戦略以外にも、ESGと称される環境・社会・統治に関わる会話もできてきて、より濃くなっている」

ポール・スティーブンス氏

ピーター・ド・プロフト氏(欧州投信資産運用協会事務局長)「欧州の投信はUCITSという欧州連合(EU)の統一規格に対応した商品が主力で、運用資産は8兆1000億ユーロ(約910兆円)にのぼる。ファンドマネジャーは投資家との利益相反を避ける観点では厳しい統制がある」

――投信業界の発展には販売手法も重要です。

スティーブンス氏「米国では販売会社は販売時ではなく、ファンドの残高に応じて手数料を得ている。(販売手数料を得る目的で回転売買させる動機がなく)個人投資家の利益に反しない」

ピーター・ド・プロフト氏

プロフト氏「英国では独立系のアドバイザーが投信を販売するが、他の欧州諸国では保険会社や銀行が販売する場合が多い。残高に応じて販売会社が報酬を受け取る形にすると(販売会社が高額所得者を優先するようになり)限られた層しか投資できなくなく懸念がある」

渡辺氏確定拠出年金や少額投資非課税制度(NISA)といった、投資を促す近年の制度の共通点は積み立て投資に適していることだ。毎月一定額を投資すると価格変動リスクを軽減でき、節税の恩恵も得られる。こうした理解を広める販売の仕方も重要だ」

すべての記事が読み放題
まずは無料体験(初回1カ月)

関連企業・業界

業界:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン