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「リトルなでしこ」が示す日本サッカーの未来
サッカージャーナリスト 大住良之

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2016/10/21 6:30
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日本サッカーの未来は「リトルなでしこ」にある――。初めてそう感じたのは2010年のことだった。

「リトルなでしこ」とは、U-17(17歳以下)日本女子代表のことである。なでしこジャパンの妹分がU-20の「ヤングなでしこ」、そして末の妹が「リトルなでしこ」ということになる。今年でいえば、1999年以降生まれの選手で構成されたチーム。選手全員が女子高校生であり、現在中東のヨルダンで開催されている国際サッカー連盟(FIFA)主催の「U-17女子ワールドカップ」に出場し、21日(日本時間22日午前1時半キックオフ)の決勝で連覇に挑戦する。

2年に一度のU-17女子ワールドカップがスタートしたのは08年のこと。10年にトリニダード・トバゴで開催された第2回大会で、MF田中陽子(当時JFAアカデミー福島、現在ノジマステラ神奈川相模原)を中心とする「リトルなでしこ」は快進撃をみせ、決勝に進出。それまでの試合と同様、決勝でも韓国を相手に圧倒的な攻撃をみせたが、カウンターで2点を失い、3-3で引き分けてPK戦で準優勝に終わった。

日本のサッカーが目指すべき方向

だがその試合内容、戦いぶりは衝撃だった。男女を問わず日本の他の代表チームと同じように体は小さい。身長でも体重でも相手より10%から20%少ない。しかし一人ひとりが高い技術を持ち、短いドリブルとパスワークを組み合わせた圧倒的な攻撃的サッカーをみせたのだ。そしてこのサッカーこそ、男女を問わず日本のサッカーが目指すべき方向であると感じた。

この大会に日本は今回まで5大会連続出場を果たし、すべての大会でベスト8以上の成績を収めている。そして14年のコスタリカ大会では6戦全勝でついに初優勝を飾っている。

「ディフェンディング・チャンピオン」として臨んだ今大会、日本は初戦から破壊的な攻撃力をみせた。

1次リーグの初戦、第2戦とガーナ、パラグアイにともに5-0の大勝、第3戦では米国に3-2で競り勝った。そして準々決勝のイングランド戦、準決勝のスペイン戦はともに3-0。前回に続き、5戦全勝で決勝に到達した。

圧倒的なボール支配からチャンスをつくるリトルなでしこだが、スペイン戦では14分にDF冨田実侑(岡山県作陽高)の突破からFW高橋はな(浦和レッズレディースユース)が見事な先制点を挙げた後にスペインの猛攻に遭った。前線にスピードのある選手を3人並べたスペインに振り回され、同点、逆転となっても不思議はなかった。しかしGK田中桃子(日テレ・メニーナ)が非常に安定した守備で再三のピンチを防ぎ、なんとか1-0で折り返した。

そして後半にはいると得意の攻撃がよみがえり、48分にはキャプテンのMF長野風花(浦和レッズレディースユース)の鮮やかなパスでDF冨田が突破。そのクロスが相手のオウンゴールを誘って2-0と差を広げた。さらに76分には、突破してシュートしようとしたFW高橋が相手に引き倒され、そのPKを高橋自身が決めて3-0と突き放した。

毎試合大きく違う顔ぶれで戦って勝利

驚くべきは、この大会で日本の最大のライバルと多くの人が認めていたスペインに対し、日本の楠瀬直木監督は準々決勝のイングランド戦から先発を5人も入れ替えて臨んだことだった。

こうした大会では、主力を休めるために1次リーグの第3戦で「ターンオーバー」することは普通だが、楠瀬監督は1次リーグの3試合を毎試合大きく違うチームで戦い、準々決勝のイングランド戦も、そして準決勝のスペイン戦も同じように「新チーム」で戦ったのだ。だからこのチームで誰が「レギュラー」なのか、はっきりいって誰にもわからない。

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