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SR参戦2年目へ サンウルブズ 確かな土台
新規ファン開拓、SNSに反響

2016/10/19 6:30
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日本で初めてスーパーラグビー(SR)に参戦したサンウルブズ。不安視された初年度は目標の1勝を挙げただけでなく、興行面でも健闘といえる数字を残した。新たなラグビーファンの開拓やSNS(交流サイト)での拡散力……。まだ課題もあるが、2年目に向け確かな土台は築いた。

今年、東京・秩父宮ラグビー場で行った5試合の平均入場者数は1万7246人だった。社会人トップリーグは史上最多の昨年度でも6470人だから集客力の高さが分かる。差がもっと大きいのが観客1人当たりのチケット購入額。昨年のワールドカップ(W杯)までのトップリーグは招待券が多く千円以下だったが、サンウルブズは4500円。ほぼ全員が自腹でチケットを買った。

サンウルブズの新HCに昇格したティアティア氏(右)は初めてのSRの指揮となる=共同

サンウルブズの新HCに昇格したティアティア氏(右)は初めてのSRの指揮となる=共同

客層も従来と違う。早大スポーツ科学学術院の松岡宏高教授が7月に来場者にアンケート調査をしたところ、これまでラグビーと縁が薄かった人が多いことが分かった。

年代別では20代以下が23%、30~40代が55%。トップリーグは半数が50代以上だから随分若い。女性も33%おり、サッカーJ1の37%に近づいた。W杯までラグビーを観戦したことがなかった人も多く、30~40代では男女とも3~4割に達した。新たにラグビーに興味を持った人の受け皿にもなったことになる。

リピーターも多く、半数は3試合以上に来た。一因は演出の工夫だろう。花火を使った選手入場に始まり、ハーフタイムにはメンバー外の選手がバズーカ砲で客席にグッズを放つ。従来のラグビーにない祝祭的な空気があった。

観客の約1割が海外出身なのは、日本のスポーツで珍しい。チーム名にちなんだ応援「オオカミの遠ぼえ」は一部の外国人客が「自分達が始めた」と話しているが、もはや真偽を確かめようがないほど客席に定着した。好調な入場者数を受け、初年度の赤字は想定より大幅に縮小しそう。

ファンの熱意はウェブ上の数字にも表れた。フェイスブックの公式ページに「いいね」したのは5万人。J1のクラブの平均3万人を上回る。

まだ課題も残る。過去にプロスポーツチームの運営に携わった人材はゼロ。影響がもろに出たのが年間83日に及ぶ海外遠征だった。シーズン前半は選手の食事の確保などに問題が生じた。

選手、スタッフの補強も同様。新シーズンも実績のある指導者を呼べず、フィロ・ティアティア新ヘッドコーチは初めてのSRの指揮となる。そもそも日本のラグビー界にプロのゼネラルマネジャーと呼べる人材はほぼゼロで、構造的な難しさがある。チームを設立した日本ラグビー協会が強化費を補助して経験豊富な指導者を呼べるだけの年俸を用意するなど、サポートを深めたいところ。

ラグビー界が一丸となって取り組むべき問題はもう1つある。SRの参加18チームのうちサンウルブズだけにないのがテレビ放映権料の分配。5チームを抱えるオーストラリアは年40億円超を得ている。新規参入組の弱みとはいえ、世界でも珍しい"不平等条約"だ。他の参加国を説き伏せ、改正にこぎ着けるだけの交渉力が必要となる。

(谷口誠)

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