残業、なぜ減らない? - 日本経済新聞
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残業、なぜ減らない?

第293回

日本経済新聞社は「電子版(Web刊)」の有料・無料読者の皆さんを対象とした週1回の意識調査を実施しています。第293回は長時間労働に関して皆さんのご意見をお伺いします。

「働き方改革」を進める政府が7日に初めてまとめた「過労死等防止対策白書」には、厚生労働省が2015年12月から今年1月までの間に、約1万社の企業(回答は1743社)と約2万人に労働者(同約19000人)を対象に行った調査結果が盛り込まれていました。

それによると、疲労の蓄積度が「高い」もしくは「非常に高い」と答えた正社員は32.8%に上り、睡眠時間も45.6%が「足りていない」か「どちらかといえば足りていない」と回答しました。

その理由(複数回答)として挙がった項目で最も多かったのが「残業時間が長い」の36.1%でした。

さらに、白書では長時間労働などの「勤務問題」を原因の1つとする自殺が15年には2159件あったことも指摘されています。

実際、日本の長時間労働は先進国で最悪レベルともいわれています。

国際労働機関(ILO)や総務省のデータ(2013年)によると、週49時間以上、働いている人の割合では、日本は21.7%に対し、米国やイギリスは、それぞれ16.4%、12.3%。10.8%のフランスと比べると日本の長時間労働者の割合はほぼ倍になります。

長時間労働による働き過ぎは、過労死という最悪の結果につながる恐れがあるため以前から問題になっていますが、なかなか是正されません。正社員の労働時間が年間ほぼ2000時間余りの長時間に及んでいる実態が、この20年間でほとんど変わっていないというデータもあります。

安倍政権では、一億総活躍プランのもと、長時間労働の是正にも力を入れるとしています。すでに国家公務員を対象に実践している取り組みとして、勤務時間を朝型にシフトする「ゆう活」を導入したことで「残業時間の縮減に成果があった」(加藤勝信一億総活躍相)とのことです。

ただ、一般企業での対応はまだ道半ばといえます。冒頭に紹介しました過労死白書では、厚労省が過労死のリスクが高まると位置づける1カ月の残業が80時間の「過労死ライン」を超えた正社員がいる企業は22.7%に上りました。

皆さんは1年前と比べて残業時間が減りましたか。働いていない方は、働いているご家族や友人、知人の様子を踏まえてお答えください。

また、日本で残業が減らないもっとも大きな要因は何だと考えますか。

今回は18日(火)午後1時までを調査期間とし20日(木)に結果と解説を掲載します。毎回実施している内閣支持率調査にもご協力ください。アンケートには日経電子版のパソコン画面からログインして回答してください。ログインすると回答画面があらわれます。電子版の携帯向けサービスからは回答いただけません。

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