防虫マットレスでホテル快適 帝人など開発
帝人とアース製薬、寝装品製造のドリームベッド(広島市)は防虫機能を持つマットレスを開発した。帝人の繊維とアース製薬の防虫剤を組み合わせた素材を応用し、ホテル向けに販売する。近年、温暖化などで害虫被害が増えているという。害虫駆除のため施設を休業するリスクを軽減できる製品として売り込む。

帝人子会社の帝人フロンティア(大阪市)とアース製薬が共同開発した防虫素材「スコーロン」を活用する。スコーロンはアース製薬の防虫剤を、帝人フロンティアの加工技術で繊維にナノレベルで接着した素材だ。長期間防虫機能を維持するうえ、他の機能を付け加えることも容易だ。
害虫が素材に触れた場合に、表面に塗布された防虫剤が害虫の触角や感覚器に作用して虫が逃げ出す仕組み。これまではハイキング向けの衣料や作業服など、屋外での防虫対策に活用するケースが多かった。
同素材をこのほど、ベッドやインテリア用品を製造・販売するドリームベッドのマットレスに応用した。同社はホテルなどの施設に寝装品を販売している。マットレスの表面にスコーロンを採用することで、就寝中の人に害虫を寄せ付けないようにする狙いだ。マットレスの価格は明らかにしていない。
ドリームベッドが販売を担う。既に福井県や富山県のホテルへの導入が決まったという。
近年、温暖化に加え訪日客の急増で外来種の害虫被害が多くなっている。特にホテルではトコジラミの被害が全国的に拡大している。トコジラミは昼間はベッドの隙間など暗い場所に隠れる性質があり、駆除に手間がかかるという。殺虫剤の散布のみで全て除去することは難しく、部屋の備品を全て交換したり、施設を閉鎖して駆除したりしなければならない場合もある。
防虫マットレスを導入すれば駆除の手間が軽減できるとみる。東京五輪の開催も控え、ホテルの需要拡大が大きく見込まれる首都圏や関西地域を中心に、販売拡大を狙っていく。
帝人は特殊な加工を施して付加価値を高めた機能性繊維を相次ぎ開発している。防虫繊維を使った製品のラインアップを増やし、早期に新たな事業の柱に育てたい考えだ。
(大阪経済部 千葉大史)
[日経産業新聞10月14日付]