/

黄金期よ再び 西武・辻新監督「野球は守りから」

チームの黄金期を支えた堅守の二塁手が古巣の再建を託された。西武の辻発彦新監督(57)。かつての常勝軍団の復活に向け、10月3日の就任会見では「野球は投手を中心に、まずは守りから入らないと143試合戦って優勝できない。1点をいかにして取るか、いかにして1点を守るかからやりたい」と意欲を見せた。

「1点をいかにして取るか、守るかからやりたい」と辻新監督=共同

大谷翔平の快投もあって1-0で勝利した日本ハムがパ・リーグ制覇を決めた9月28日の西武プリンスドーム。優勝を決めて歓喜に沸くライバルを横目に西武の田辺徳雄監督が寂しく今季限りの退任を表明した。全日程を終えて64勝76敗3引き分けで3年連続のBクラスとなる4位。2008年を最後にリーグ優勝から遠ざかっている。広岡達朗、森祇晶監督の下、隙のない野球で1980年代から90年代にかけて築いた黄金時代は遠くなった。

戦力がないわけではない。長打力のあるメヒア、中村剛也にシーズン216安打の日本記録を持つ秋山翔吾らが並ぶ打線の破壊力はトップクラス。チーム本塁打128はリーグ1位、打率2割6分4厘、591打点は同2位を誇る。その一方で、守りには不安がつきまとう。チーム防御率はリーグ4位の3.85(1位の日本ハムは3.06、2位ソフトバンクは3.09)。加えて両リーグ最多の101失策を記録した守備の乱れは目を覆うばかりだった。

守備改善へ気持ち出す攻めのプレーを

今季の西武は規定投球回数を上回った先発投手が菊池雄星ただ1人しかいなかった。その菊池の投球回数クリアも球団創設の1950年から毎年規定投球回に到達する投手を輩出してきたチームの伝統を途切れさせないため、最後は中4日で最終戦に登板して6回を投げて何とか達成したというものだ。

今季は規定投球回数を上回った先発投手が菊池ただ1人だった=共同

エースの岸孝之は故障離脱もあり9勝にとどまり、期待された2年目の19歳高橋光成は4勝11敗と大きく負け越している。

そうした事情もあり、球団側は新監督の人選にあたって「球ぎわに強い、1点差を勝ち抜ける」監督を念頭に人選を進めてきた。現役時代、8度ゴールデングラブ賞を手にした守備の名手で首位打者も獲得、加えて通算242盗塁を記録している辻新監督の就任は弱点の克服という意味でうってつけの存在といえるだろう。

辻監督は球際の強さについて「球際は守備で言えば必ずつかむ、打つ方だったら食らいついていく、という選手一人一人の気持ちだと思う。練習でできないものは試合ではできない。実のある練習の中から実力をつけてもらいたい」と練習からの意識付けを強調。

その上で守備の改善に向けて「野球にエラーはつきものだが、気持ちが前に出ない選手はエラーが増える。攻めのプレーができるように見ていきたい」と選手に積極性を求めた。

理想は辻監督が現役だったころの西武のように破壊力を持つ打線を持つ一方で、1点を争うようなゲームにも競り勝つそつのなさを兼ね備えていくこと。もちろん一朝一夕にできることではない。だから基本が重要になる。

長打力のある中村をはじめ、打線の破壊力はリーグトップクラスだ=共同

就任会見ではプロの門をたたいた1984年、当時の広岡監督から贈られた色紙に記されていた茶人千利休の言葉が心に残っていると話した。「稽古とは一から習い十を知り、十よりかえるもとのその一」。練習で力をつけて進歩したとしても、常に基本に立ち返ることが大事だと。

そのためにも選手とのコミュニケーションが大切と説く。「選手を見てあげることが大事。選手は監督やコーチから見られていることがうれしい。選手のちょっとした変化を見て、ケガをしているのかな?などが分かるぐらい、選手を見ること」という。

1軍での監督経験こそないが、コーチや2軍監督として指導者としての経験も豊富に積んできた。西武での広岡、森両監督をはじめ、ヤクルトでは野村克也監督、中日では落合博満監督という名将の下で野球を学んできた。王貞治監督が指揮した第1回ワールド・ベースボール・クラシックでは内野守備走塁コーチとして、日本代表を世界一に導いた。その実績は申し分ない。

パの2強押しのけ「やるからには優勝」

鈴木葉留彦球団本部長は「厳しさを持った方。作戦面での経験もあってゲームもつくってくれる。(球際の意識を徹底させて)1点差で勝つ試合が増えれば、おのずと上に行けるはず。1年目から勝ってもらうことが大前提」と来季への期待を口にする。

日本ハム、ソフトバンクの2強が激しい優勝争いを演じた今季のパ・リーグについて辻監督は「レベルが高い。勝ち抜くのは大変だが、1点にこだわり抜いて力を発揮してくれたら。当然、やるからには優勝を目指す」と前を向く。「現役時代から自分には厳しくやってきた」という新監督が、どうチームを立て直していくのか。

(馬場到)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン