だらだら見ちゃうスマホ 1分で止められる驚きのワザ

はじめまして。プロコーチの大平朝子です。わたしは裁判所書記官として、年間2000件の記録を扱う日々のなか、問題解決のある法則を見つけ、その後独立。現在プロコーチとして、習慣力を身に付けたい人たちのサポートをしています。意志が強くなくても、気合いをいれなくても、時間がなくても実践できる、「やめる」ための仕組みと簡単なアクションをお届けします。
あなたの「やめたいこと」は、なんですか
「やめる」って、意外に難しい。
なんとなく「失う、損する、減ってしまう」気がしませんか? 慣性の法則に支配されている私たちは、いつもの行動・いつもの時間の使い方を、無意識にしているんです。
なかなかやめられないのは、あなたの意志が弱いからでも、あなたがちゃんとしていないからでも、あなたの性格が原因でもありません。脳の仕組みがそうなっているからです。
やめることを恐れているのは、あなたではなく、あなたの脳なのです。脳は変化を嫌います。わざわざやめるよりも、今まで生き延びてきた現状維持をよしとします。「いつもと同じ」を基本的に選択することになります。
もしいま、仕事もプライベートも抱え過ぎが原因でツラくなっているとしたら、一度、手放してみませんか。やめられなかったのは、やめるためのコツを知らなかっただけ、という方が多いのです。
いちど知ったら、試してみることができます。もう、自己嫌悪にならなくていい。嫌な気持ちにならなくてもいいのです。これから紹介するのは、わたしやわたしのサポートしているクライアントが実践して効果があったものを厳選。とっても簡単で、たった1分でできるので、安心して気楽に試してみてください。
今回のテーマは、「だらだら見続けてしまうスマホをやめたい」。いまやテレビよりも、スマホをやめたい、という相談をうけることが多くなりました。それほど見たいわけでも必要でもないのに、SNSに夢中になったりゴシップ記事を読んだりしていたら、あっという間に30分、1時間経過。気がつくと、深夜だった……なんてこと、経験があるのではないでしょうか。そして心のどこかで、そんな生活をやめたいと思っていませんか?
それでは早速、「だらだらスマホをやめる」ための仕組みと、簡単なアクションをお伝えしましょう。
だらだらとスマホを見てしまうのは原因があった
Aさんは帰宅後、スマホで動画を見ながらビールを飲むのがいつものパターンになっていました。
Bさんはベッドに入ってから、スマホでニュースサイトをチェック。2人とも、だらだらスマホをやめたいのに、なかなかやめられなくて悩んでいました。
そう、だらだらスマホの原因は、ずばり「生活導線にスマホが組み込まれている」からなんです。
先述したように、脳は今まで命の危険なくやってきたこと=安心・安全と判断します。むしろ、命の危険がないことをやめるほうが、危険と脳は判断します。だらだらスマホには、命の危険はないので、何もしないでいると、続けるほうが安心・安全ということになります。そして脳は仕組み上、一度習慣化してしまうと、なかなかやめられません。
しかし、どんな行動にも、必ずはじめる「きっかけ」が存在します。スマホを見はじめる「きっかけ」をなくしてしまえば、行動する頻度が減り、スムーズにやめやすくなります。
つまり、やめたいことは、行動のハードルを高くする=はじめにくくすると、意志の力を使わなくてもやめられるのです。
今回のテーマである「だらだら見てしまうスマホをやめたい」とき、まず最初にやることはこの2つ。
・そのアプリを削除、またはトップ画面から見えない場所に移動。
これはスマホだけでなく、会社や自宅のパソコンも同じです。Cさんは、パソコンのトップ画面をニュースサイトではなく、検索画面に変えたそうです。すると、仕事の本題に入る前にちょっとだけネットサーフィン、ということがなくなり「短時間で集中できるようになった」と教えてくれました。
さらに、だらだらスマホをやめるには、もう一つポイントがあります。
あなたの本当にやりたいことが見えてくる
それは、だらだらスマホやネットサーフィンの代わりに「何をしたいかをあらかじめ決めておく」ということです。代替行動が明確であればあるほど、帰宅したら、だらだらスマホの替わりに、即「代替行動」という流れを作りやすいのです。
例えば、帰宅後はスマホで動画を見ながらビールを飲むことが習慣化していた先述のAさん。英語の勉強をして昇進試験に備えたいという思いに気づきました。
そこで、Aさんは、だらだら見てしまうアプリアイコンを削除。そして、帰宅直後に仕事着のまま、リビングの机で1分間だけ勉強をするという「代替行動」をすることに。早速、リビングの机に英語のテキストを置いてから出勤するということを実行してみたら、数回はうまくいきました。でも、疲れた日などは勉強をする余力が残っていないことに気づきました。そこで、そんな日は、勉強ではなく英語の雑誌をパラパラめくって眺めるだけでOKに。
すると、少しずつ英語の勉強ができるようになり、だらだらスマホは減ったそうです。同じスマホを見るのでも、「見たい動画を厳選して見る」など、自分をコントロールできるようになったのです。
ベッドでニュースサイトをチェックするのが習慣になっていたBさん。ニュースサイトのアイコンをスマホのトップページではない場所に移動させました。そして、替わりにずっと読みたかった小説をベッド脇に置いて、寝る前に読むことに。
試してみると、ベッドに入った後にスマホが視界に入ってしまうと、無意識に手にしてしまうことがありました。そこで、ベッドから遠いリビングでスマホの充電をすることに。すると、どうしても見たいニュースはリビングで見るようになり、ベッドに入ってからは小説を数ページ読んで眠るという流れができたそうです。
1.だらだら見てしまうアプリを特定し、アプリアイコンを見えにくくする。または削除する。
2.だらだらする替わりに、本当は何をしたいのか、どんな行動をとるのかを決めておく。疲れているときにも実践できる位簡単なアクションも考えておく。
いずれも、1分あればできるので、ぜひ試してみてください。

メンタルコーチ・問題解決の専門家。国家公務員試験を首席合格。裁判所書記官として、年間2000件の裁判記録を扱う中で問題解決のある法則を発見し、独立。教育団体、女性団体、外国人リーダー向けに、講演・研修を実施。無職だった夫をベストセラー作家にした手法が注目され、女性経営者など2300人以上の問題解決に携わる。現在は、愛する二人の息子の育児をしながら、夫であるプロコーチ大平信孝のスクール「株式会社アンカリング・イノベーション」のマネジメントも行う。著書に夫婦初共著となる『ダラダラ気分を一瞬で変える 小さな習慣』(サンクチュアリ出版)。
[nikkei WOMAN Online 2016年9月27日付記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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