2018年11月17日(土)

[FT]さらば世界秩序 トランプ大統領で信頼崩壊

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2016/10/3 6:30
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Financial Times

時として歴史は飛躍する。第1次世界大戦やボルシェビキ革命、大恐慌、ヒトラーの首相選出、第2次世界大戦、冷戦の始まり、欧州の帝国の崩壊、鄧小平による中国の「改革開放」、ソ連崩壊、2007~09年の金融危機とその後の「グレート・リセッション(大不況)」を思い浮かべてみるといい。

■米国主導の西側の終わり

その多くと同じくらい大きな変化をもたらす出来事が迫っている可能性がある。ドナルド・トランプ氏が米国大統領に選出される事態だ。それは国際情勢の中心的勢力として米国が主導してきた西側の終わりを告げるだろう。結果生じるのは新たな秩序ではない。極めて危険な無秩序だ。

トランプ氏が見込みのある大統領候補になれるという事実は、驚きだ。ビジネスの世界では、同氏はデフォルト(債務不履行)と訴訟を繰り返す実業家からリアリティー番組のスターに転じた人物だ。ウソと陰謀論を広めては、人種差別的な中傷を口にする。司法の独立を攻撃し、自分の納税額を公開することを拒む。公職に就いた経験がなく、支離滅裂な政策を掲げている。

トランプ氏は自分の無知を誇りとしている。連邦政府がデフォルトする可能性さえほのめかしている。過去の貿易協定を破棄すると脅すことで、米国が築いた通商秩序への信頼を損ねている。選挙は不正に操作されると主張することで、米国の民主主義に対する信頼を損ねている。拷問と、テロ容疑者の家族の意図的な殺害を支持している。そして、元ソ連国家保安委員会(KGB)のスパイ――ロシアを治めている――を尊敬している。

明らかに、ものすごい数の米国人有権者が、自国の政治・経済システムへの信頼を失っている。1930年代にさえ見られなかったほどの喪失ぶりだ。当時は有権者が、経験のある既成の政治家に傾いた。

だが、多くの課題を抱えているにもかかわらず、米国はそれほどひどい状態にあるわけではない。この国は世界の歴史上、最も豊かな大国だ。成長は鈍いが、失業率は低い。有権者がもし、第1回のテレビ討論会で再び露呈した欠点にもかかわらずトランプ氏を選べば、それは米国の健全性について恐ろしいことを物語る。

米国は世界をリードする大国だ。そのため、単なる米国内の懸念では済まない。トランプ氏が大統領になることは、何を意味するのだろうか。これほど予測不能な人物の政策を予想するのは不可能だ。だが、いくつかは、少なくともそこそこ明白に思える。

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