2019年9月18日(水)

不動の4番、異境修業で覚醒 DeNA筒香嘉智(上)

2016/10/2 6:30
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DeNAの筒香嘉智が左打席に入ると、横浜スタジアムを埋めるファンが両手をかざして歌い出す。

横浜の空高く

ホームランかっ飛ばせ

ツツゴー

「どこからでもいらっしゃい」という泰然たる構え。軽快な歌と手拍子が響けば何かが起きそうになる。

自分の体の中がまとまりだしたという感覚

「居心地よさ」に物足りなさを感じオフにドミニカ共和国に渡航

「居心地よさ」に物足りなさを感じオフにドミニカ共和国に渡航

今季初めてクライマックスシリーズへ進んだチームの4番打者として伸長著しい。2試合を残して打率はセ・リーグ3位の3割2分6厘。43本塁打、108打点はいずれもトップだ。セの二冠王となればDeNA監督のアレックス・ラミレスが巨人でプレーしていた2010年以来。日本人では02年の松井秀喜(巨人)以来の快挙となる。

タイトル争いで先行していた山田哲人(ヤクルト)を7月の大爆発でとらえた。筒香が語る。「オールスターの前後から自分の体の中がまとまりだしたという感覚があった。これまでやってきたことがかみ合い始め、筋肉が動く方向がそろってきたというか」

7月の成績は打率4割2分9厘、31打点。16本塁打はウラディミール・バレンティン(ヤクルト)が13年8月に記録した18本に及ばなかったが、球宴でも2発を放った。1試合2本塁打は6試合。19日からは3試合連続の2本塁打でラミレスを「こんなの見たことない」と驚嘆させた。

今季の覚醒を語るうえで欠かせないのが、ドミニカ共和国に渡った昨年オフの"武者修行"だ。11月、日本代表の4番も務めた国際大会「プレミア12」が終わって間もなく、同国のウインターリーグに参加した。オフの渡航を心配する声もあったが、本人に迷いはなかった。DeNAでの「居心地のよさ」に物足りなさを感じ始めていたからだ。

成績だけで判断される状況求めドミニカへ

14年から2年続けて3割、20本塁打を記録し、チームの大黒柱となった。「みんなが話しかけてくれて、悪くいえばチヤホヤされるようになった。居心地のいい所にいても成長はない。誰も僕を知らない場所で、成績だけで判断される状況をつくりたかった」

同リーグには大リーグの当落線上にいる選手も多く集う。外国人投手特有の、打者の手元で動く球をさばくには、無駄な動きを減らしてミートの確率を上げる方がいい。右足の上げ幅を抑えたシンプルなフォームに取り組み始めたことが今季の好成績につながった。

成長を求めて異境に赴くのは初めてではない。出身は和歌山県だが、小学生のころ甲子園のスタンドで見たPL学園との死闘に感銘を受け、横浜高の門をたたいた。同校野球部前監督の渡辺元智は「こちらから熱心にスカウトしたわけではない。強い意志を持って自ら入ってきたから、野球に取り組む姿勢も真摯だった」と語る。

野球エリートだが、敷かれたレールをなぞるだけではない。時には自分でレールを敷く意志の強さが、当代屈指の強打者を鍛え上げた。(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊9月26日掲載〕

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