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「難民や貧困」フィンテックVB、解決策競う
フィンテック・サミット

2016/9/22 6:30
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ピッチ・ラン本選を終え、記念写真に納まる受賞者(21日午後、東京・丸の内)
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ピッチ・ラン本選を終え、記念写真に納まる受賞者(21日午後、東京・丸の内)

 フィンテック(金融とテクノロジーの融合)は仕事や生活を一変させ、世界に広がる困難な問題も解決できる――。金融庁と日本経済新聞社は21日、フィンテックをテーマにした「FinSum:フィンテック・サミット」において、国内外のベンチャー企業が事業内容を競うコンテスト「ピッチ・ラン」を開催した。前日の予選を勝ち抜いた12社が、投資や仮想通貨だけでなく、新興国への支援にフィンテックを活用するなど多彩なアイデアを披露。単に金融システムを効率化するだけにとどまらない、フィンテックで実現できる未来像を示した。

■スタートアップ12社が有望サービスを披露

 「ピッチ」とは、ベンチャー企業が投資家に自らの製品やサービスを紹介する短時間のプレゼンテーションのこと。今回のピッチ・ランでは、各社3分間のプレゼンテーションに加え、2分間の製品デモの時間が与えられた。プレゼンテーションの終了後、大和証券グループ本社や野村ホールディングス、PwCコンサルティングなど計8社の協賛企業が、それぞれ1社ずつ有望なベンチャー企業を表彰した。

 金融サービスが整備されていない新興国こそ、フィンテックが求められている。そんな考え方を示して、2社からのダブル受賞となったのはタイのアグリレッジャーだ。ブロックチェーンを使い、個人の農家が育てた作物の流通に関する記録を透明化する。

新興国で作物を流通させる際の記録を透明化するサービス「アグリレッジャー」を説明するデビッド・デイビス共同創業者
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新興国で作物を流通させる際の記録を透明化するサービス「アグリレッジャー」を説明するデビッド・デイビス共同創業者

 アフリカなどの新興国では仲介業者の不正やサプライチェーンの効率が悪いことなどで、「作物の価値の50%程度しか農家に支払われていない」(デビッド・デイビス共同創業者)。取引の透明性が高く、データが改変できないブロックチェーンを利用したシステムを農業の仲介組織や小売店にまで広げれば、不正や非効率を防げるという考え方だ。取引する際には、スマートフォン(スマホ)用アプリでQRコードを互いに読み取る。特別なハードウエアは必要ない。現在、ケニアやパプアニューギニア、ミャンマーで実証実験を進めているという。

 欧州の移民問題の解消に一役買うサービスも登場している。ノルウェーの「Taqanu Bank(タカヌバンク)」は、難民などIDや住所を持たない人のための銀行。国境を越えた難民は口座を開くことができず、一般に全財産を現金で管理するしかない。Taqanu Bankでは、ブロックチェーン技術を使い、証明書や住居がない人に対しても送金や融資といったサービスを提供する。

■広告視聴で仮想通貨を発行

ビットコインからドルなどの通貨へ簡単に変換できるサービス「Wirex」を説明する英ワイレックスの創業者のパーベル・マットヴィーブ氏
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ビットコインからドルなどの通貨へ簡単に変換できるサービス「Wirex」を説明する英ワイレックスの創業者のパーベル・マットヴィーブ氏

 フィンテックが大きく進歩したのは、「ビットコイン」に代表される仮想通貨が登場したことがきっかけだ。仮想通貨を使えば、ネット上で手軽に第三者に送金したり、買い物したりできるようになる。今回のピッチでは、複数のベンチャー企業が仮想通貨を便利に利用するためのサービスを紹介した。英ワイレックスの「Wirex」は、スマホのアプリを使いドルなどの一般通貨とビットコインを簡単に変換できるサービス。一般の通貨に変換した金額分は、専用のデビットカードを使って買い物に利用できる。ビットコインを買い戻すことも可能だ。実は日本国内でもサービスを開始している。創業者のパーベル・マットヴィーブ氏は、「対前月比で20~30%増の勢いで急速に伸びている。今後、日本が仮想通貨が使われるマーケットとして中核を担っていく可能性がある」と展望する。

 フィンテックはネット上の広告配信にも変革をもたらしそうだ。LastRoots(東京・港、小林慎和CEO=最高経営責任者)の「c0ban(コバン)」は、企業が提供する動画を見ると、視聴者は仮想通貨c0banがもらえるサービス。c0banを受け取るには専用のスマホアプリを使う。約15秒ほどの広告動画が表示され、次の動画が始まるまでに表示されるボタンをタイミングよく押すとc0banを入手できる。ボタンを表示する位置は毎回変わり、時には動いていることがあるのでボット操作による自動入手が難しく「ユーザーがより真剣に広告動画を見るようになる」(小林CEO)。獲得したc0banは、広告を提供する企業の直販サイトで利用できる。11月末に開始予定で、約300店で利用できるようにすることを目指す。

ネット広告向けの仮想通貨「c0ban(コバン)」を説明するLastRootsの小林慎和CEO
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ネット広告向けの仮想通貨「c0ban(コバン)」を説明するLastRootsの小林慎和CEO

 保険業界では、フィンテックの技術を応用した「インシュアテック」の動きが広がっている。今回のピッチ・ランでもインシュアテック関連のサービスが登場した。英ドモーツの「Domotz」は、家庭内の高価な電子機器を登録し、保険サービスに利用するスマホアプリ。アプリが家庭内に存在する電子機器を自動的に認識し保険費用を自動的に見積もる。

 英スピクシーの「Spixii」はチャットボットと会話をしながら保険を選べるサービスだ。LINEなどのメッセージアプリと同じ感覚で簡単に利用できる。例えば、「旅行の保険を探しているのかい?」「では資料を送るからメールアドレスを教えて」などという質問に答えていくだけで申し込みが完了する。別途、書類にサインなどを記入する必要がない。レナウド・ミリオン共同創業者兼CEOは、「従来の保険は分かりづらかった。友達や家族に問い合わせするような気楽さで利用できるボットで、保険会社の顔になる役割を果たしたい」と語る。

■株価の予報でダブル受賞

 個々人にマッチしたポートフォリオ(資産配分)を提案するロボアドバイザーなど、資産運用をしやすくするサービスもフィンテックの注目株。「新しい投資家を増やして、投資市場を底上げしたい」――。そう意気込みを語るのは、日々のニュースによって株価にどんな影響が起きるかを通知するサービス「兜予報」を提供する財産ネット(東京・千代田、荻野調社長)だ。複数のアナリストやトレーダーの多数決による意見を基に、「どの銘柄が上がりそうか、下がりそうか」という情報を利用者に通知する。初心者が投資を学べるように投資シミュレーションができるゲームも用意した。「日本ではデイトレーダーが5万人いて電子取引の収益で70~80%を占めている。そのうち10%を兜予報で新規の投資家を増やし底上げしたい」(荻野社長)。投資人口の広がりに貢献する事業内容が評価され、兜予報は証券会社2社からダブル受賞を獲得した。

(コンテンツ編集部 松元英樹)

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