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イチロー、ダルビッシュに共通する「臨機応変」
スポーツライター 丹羽政善

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2016/9/19 6:30
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剣豪・宮本武蔵はこんな言葉を残したとされる。

「初めの少しのゆがみが、あとには大きくゆがむものである」

投手、打者ともに、小さなつまずきが、やがて大きな「ゆがみ」を招く。ただ、早い時点でそれに気づき、軌道修正できれば、調子の波を小さくできる。

今回は、その点で優れた2人の話。

前回、8月14~18日の4日間で6三振を喫した後、イチローの三振の数が激減した、という話を書いた。外角高め"付近"のボールを空振りするケースが目立ったわけだが、あの6三振を境に、そのコースの空振りもめっきり減った。偶然か必然か、結果が伴い始めている。8月の打率は打率2割9厘だったが、9月は48打数15安打(17日現在)で、打率3割1分3厘にまで戻している。

イチローの打撃に「とにかく適応力の高さを感じる」とボンズ打撃コーチ=共同

イチローの打撃に「とにかく適応力の高さを感じる」とボンズ打撃コーチ=共同

「自分で勝手に修正している」

ざっくりくくってしまえば「修正した」、あるいは相手の攻めに「適応した」ということになるのだろうが、762本という大リーグ最多本塁打記録を持つバリー・ボンズ打撃コーチが7月にこんなことを言っていたのを思い出した。

「間近でイチローを見るようになって、とにかく適応力の高さを感じる。1打席1打席、1スイングごとにいろいろ修正している」

では、仮にイチローが苦しんでいるとき、修正に苦労しているとき、アドバイスを与える必要があるのかと聞くと、首を振りながら言った。

「俺にも、目に見えることはわかる。体が一塁側に傾いているとか、体重移動ができていないとか。でも、俺にわかることをイチローが気づかないと思うか?(笑) だから指導なんていらない。自分で勝手に修正している」

今、ボンズ打撃コーチに聞けば、外角高めの球を空振りしなくなったのも「当然だ」と答えるに違いない。

ところかわって、9日、アナハイム。

エンゼルス戦に登板したダルビッシュ有(レンジャーズ)が、スライダーを効果的に使いながらエンゼルス打線を7回途中まで翻弄した。ただその前に登板した4日のアストロズ戦では4回7安打5失点で降板。スライダーが曲がらず、真っすぐ系とカーブを軸に攻めたが、真っすぐに狙いを絞った相手打線に捕まった。

翌5日、リリースポイントが想定よりも高くなりすぎていることから、「少し(肘を)下げるか」と思案。本人いわく、「(リリースポイントが)高すぎると、スライダーが曲がらない」そうで、その日から、スライダーを投げる際の肘の高さを意識し始めた。また、リリースポイントが徐々に三塁側にずれており、踏み出す左足が、三塁側に寄るインステップ気味になっていることが原因であることに気づくと、そこも修正。インステップには利点もあるが、「スライダーを投げるとき、体が窮屈になる」とダルビッシュ。7日のキャッチボールでは、高さと同時にステップも意識すると、手応えを得た。

「見ててください。次が楽しみです」

その「次」が6回2/3を投げて3安打1失点9三振という9日のエンゼルス戦の好投だったのである。

このときまた、ボンズ打撃コーチの言葉を思い出した。

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