テスラ、事故防止へオートパイロットソフト刷新

2016/9/16 6:30
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VentureBeat

米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がついにオートパイロット(自動運転)機能の「刷新」内容を明らかにした。

テスラのモデルS

テスラのモデルS

マスク氏は11日の電話会見で、大々的に「刷新」したオートパイロット機能のソフトについて説明。今回のバージョン8.0への更新では、テスラ車に既に搭載されているレーダーが自動運転機能の主な情報源となる。マスク氏は「フリートラーニング」機能により、今回の更新で「安全性が3倍高まる」と強調し、レーダーの情報だけでブレーキが作動する機能を「超人的」と自賛した。

■クルマを無線でバージョンアップ

マスク氏はテスラのブログへの投稿で、無線でのソフト更新は、2014年10月以降に生産された多目的スポーツ車(SUV)「モデルX」とセダン「モデルS」が対象で、「1~2週間後に世界で実施される」と明らかにした。

主な変更点は以下の通り。

  • ●レーダーが主要センサーに:これまで、テスラ車のレーダーは障害物を視覚的に検知するカメラを補完するために使われていた。今回の更新で内蔵レーダーは主な信号となり、カメラと連動して未確認物体を検知したり、回避したり、ブレーキを作動したりできるようになる。マスク氏はこれまでは「レーダーとカメラが一致しなくてはならなかった。カメラが物体を認識しなければ、ブレーキは作動しなかった。カメラが認識できない物体はたくさんあったので、かなり問題だった」と述べている。
  • ●レーダーに関するその他の変更:マスク氏はレーダー信号の処理方法の変更により「前方の車の先を見る」ことができるようになったと述べた。レーダーは「雨や霧、雪、ホコリをかなり容易に見通せる」とも話している。
  • ●フリートラーニング:ゴミや陸橋、道路標識など安全を脅かさない物体に対しては、ブレーキは作動しないのが望ましい。テスラは不要なブレーキの原因となる「判断ミス」の撤廃に向け、全てのテスラ車の走行データを集めて例外リストを作成している。
  • ●UFOとフワフワした物体:マスク氏によると、テスラのカメラとレーザーの限界により、モデルSとXではフワフワした物体や「小鹿」に対してさえ、自動ブレーキが作動しない可能性があるという。マスク氏は報道陣からの質問に対し「自動ブレーキはヘラジカのようなかなり大きい物体には有効だ」とも述べた。同氏はテスラのブログで、今回の更新により「視界ゼロの状況でUFOが高速道路に着陸したとしても、自動ブレーキはほぼ例外なく適切に作動する」と語った。
  • ●安全性はどれほど高まるのか:今回の更新で安全性はどれほど高まるのかという質問に対し、マスク氏は「あくまでも推測だが、ソフトの一連の改良、レーダー、その他を含めると、事故率は半分以下に下がると思う。これにより、モデルSとXはこれまでで最も安全な車になるだろう。しかも、フリートラーニングで徐々に改良される」と述べた。
  • ●今回の更新内容ならジョシュア・ブラウン氏(オートパイロット作動中に起きた初の死亡事故の犠牲者)の命を救えたか:マスク氏は「はい」と答えた上で「こうしたことは絶対に確実とは言い切れない」とも述べた。
  • ●「絶対に安全」ではない:マスク氏は今回の更新で、利用者に対して「絶対に安全というのは不可能なゴールだ。肝心なのは安全の確率を高めることだ。けががゼロになることさえあり得ない。つまり、本当に大事なのはけがや死亡の可能性を最小限にすることで、絶対に安全という幻想ではない」とくぎを刺した。
  • ●まだ完全自動運転ではない:テスラのオートパイロット機能は依然として半自動運転だ。車の運転を完全に引き継ぐようには設計されていない。マスク氏は「オートパイロットの新たな利用者は非常に慎重だ。少し慣れてきた利用者もそうだ。実は最も厄介なのは、皮肉にもオートパイロット機能を最も熟知している利用者だ」と明かした。
  • ●その他の変更点:今回の更新で導入されるオートパイロット関連の変更点(レーダーを除く)には、ブレーキ、高速道路からの退出、オートステアリング、警告の明確化、車線変更などがある。
  • マスク氏は2週間近く前のツイッターでは、更新内容について明言を避けた。その時点では、変更点は「2~3週間後に発表される」と述べていた。今回の更新発表は米宇宙開発ベンチャー、スペースXのロケット「ファルコン9」の爆発事故に伴う「非常につらい数週間」により、遅れたとしている。

    By Harrison Weber

    (最新テクノロジーを扱う米国のオンラインメディア「ベンチャービート」から転載)

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