不眠症アプリで治す サスメド、月内に治験

2016/9/15 6:30
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ITベンチャーのサスメド(東京・文京)はディー・エヌ・エー(DeNA)系と組み、スマートフォン(スマホ)などで利用できる不眠症の治療アプリを開発する。薬と同じように医師がアプリを処方し、医師と患者の接点を広げて睡眠時間などを適切に管理する。投薬重視の不眠治療に新たな可能性が広がりそうだ。

患者がつけた記録に基づき医師が対処策などを通知する(デモの画面)

患者がつけた記録に基づき医師が対処策などを通知する(デモの画面)

サスメドは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、DeSCヘルスケア(東京・渋谷)と今月中に臨床試験(治験)を始める。2~3年後の保険適用と実用化を目指す。保険適用を受けた場合、アプリの利用料は3割負担の患者で月300円程度を想定している。

患者は医師の処方でアプリをインストールし、ベッドに入る前の行動や不安に感じていることや就寝時間などを記録する。記録を基に睡眠の妨げとなっているものを医師が把握、対処策を通知し改善を促す仕組みだ。

眠れないこと自体に不安を感じている患者にはベッドに入る時間を遅くするよう通知したり、仕事がストレスとなっている患者には1日当たりの仕事量の見直しを促したりするなど、記録に応じて医師が監修した対処策を自動で通知する。

患者の症状に応じてアプリを通じた直接指導もできるようにする予定だ。重症の患者には週1回以上指導するなど柔軟な治療が可能となる。通院だけでは細やかな生活の把握は難しく、指導には限界もあるためだ。

潜在患者も含めると日本人の5人に一人が不眠症の疑いがあるという。現在、日本では睡眠薬による治療がほとんどで、人口当たりの処方量は米国の6倍に達する。

今回のアプリでは、睡眠に適した考え方や行動を見直す「認知行動療法」を採用した。欧米などで睡眠薬と同等以上の治療効果があると認められている治療法で、不眠症の原因となるストレスや不安などを睡眠前に取り除き、眠れないという思い込みを排除する。

認知行動療法は依存症など副作用のリスクがない半面、医師が患者と連携を密にしなくてはならない。現在、不眠症の認知行動療法は保険適用がなく、都内では1回の診療で7000~8000円かかることもあるという。診察時間の制約で医師が対応しきれないなど課題もあり、日本ではあまり普及していない。

サスメドの上野太郎社長は「アプリを通じて患者の日常生活を把握できれば、限られた診察時間の中でより具体的な指導ができるようにもなる」と話し、アプリの実用化で投薬に頼らない治療に道が開ける可能性があると期待している。

今後は、患者が継続して使えるように、通知の仕方や表示の方法などの、アプリの使い勝手を向上させたい考えだ。アプリのプログラムを開発するDeSCヘルスケアは、今回の開発を通じて得られた不眠症に関する知見やアプリの仕様などのノウハウを、現在健康保険組合向けに提供している健康情報サイトなどで活用していく。

サスメドは2015年設立のITベンチャー。DeSCヘルスケアはDeNAと住友商事の共同出資会社で15年の設立。健保向けに、健診結果などのデータ管理サービスを手掛けている。

(企業報道部 二村俊太郎)

[日経産業新聞2016年9月15日付]

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