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[FT]米IT企業が食指を動かす英のAIベンチャー

Financial Times

米シリコンバレーのIT(情報技術)企業がまたもや、英国の持つ人工知能(AI)の専門技術を獲得しようと攻勢をかけている。直近で米国勢が買収を目指しているのは、起業間もない英ウィーブ・ドット・エーアイだ。

2015年にロンドンで設立された同社は従業員がわずか8人。ベンチャー支援会社の米テックスターズなどの出資者から設立時に20万ドル(約2055万円)を調達しただけだ。同社のAIエンジニア4人が目指すのは、米アップルの音声認識・応答サービス「Siri(シリ)」や米グーグルのインターネットにつながったAI「グーグルアシスタント」などより、自然なスマートフォン(スマホ)向けの音声アシスタントサービスをつくることだ。

英国が持つAIの技術は、グーグルや米マイクロソフト、アップルなど世界有数のIT企業には特に魅力的のようだ。グーグルは14年に4億ドルを投じてロンドンに本社を置くベンチャー、ディープマインド・テクノロジーズを買収した。同社はその当時はまだ販売するものがなかったが、今や250人以上の大学の専門家チームを擁し、AIの世界的リーダーであることは間違いない。アップルは15年、AIを使って自然に対話できるシステムの研究開発をする英ベンチャー、ボーカルIQを傘下に入れた。

今年2月には、マイクロソフトが文字入力を予測するキーボードアプリを手掛ける英スイフトキーを2億5000万ドルで買収。6月には米ツイッターが、まだ設立時の出資金しか手元になかった従業員14人の新興企業、マジック・ポニー・テクノロジーを1億5000万ドルで買収した。

情報筋によると、ウィーブはシリコンバレーにある「複数のIT企業」と交渉中だという。

いまだ企業実体がよくわからないウィーブは15年、スマホのメッセージを分析し、内容の理解も助けてくれる(試験的な)ベータサービスを公表した。これは、利用者がその時に必要な情報を提供するグーグルの検索機能「ナウ・オン・タップ」と似たサービスだ。例えば、米ウォルト・ディズニーの人気映画シリーズ「アベンジャーズ」の最新作「エイジ・オブ・ウルトロン」をツイートすれば、チケットが購入できる映画館のリンクや映画の情報を表示したりする。

AIが判断の根拠を示すようにしたい

ウィーブの共同設立者で最高経営責任者(CEO)のロドルフォ・ロジーニ氏は、AIが判断の根拠を説明できるようになるまでサービスの機能を高めたいという。米国防総省の研究機関、国防高等研究計画局(DARPA)なども取り組んでいる課題だ。

現段階のAIの計算手法(アルゴリズム)には、その判断や動作の根拠を人間に説明できないという限界がある。ウィーブはAIが判断を下す過程の経緯や透明性を上げようとしている。

「現在はアルゴリズムを信頼しようがない」とロジーニ氏はいう。「もしコンピューターが医者に、その患者はがんだと伝えても、医者は根拠がわからない。誤診の可能性があっても、コンピューターにどうしてそう考えるのか尋ねられないからだ」

By Madhumita Murgia

(2016年9月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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