ドローンで下水管点検 産学官で実験

2016/9/14 6:30
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下水管内をドローン(小型無人機)で点検する産学官のプロジェクトが始まる。ドローン関連サービスのブルーイノベーション(東京・千代田)や水道コンサルティングの日水コン(東京・新宿)、横浜市、横浜国立大学などが参加し、今月下旬から実証実験に入る。全国的に問題となっている老朽箇所の早期発見につながると期待される。

下水管内でドローンを飛ばす予備調査の様子

下水管内でドローンを飛ばす予備調査の様子

ドローンを自動で飛行させるには、通常は全地球測位システム(GPS)の情報を受信して位置を確認する。下水管内はGPSが受信できないため、ブルーイノベーションが開発した自動飛行技術を活用する。

実験に使うドローンにはライトと複数のカメラを搭載。人間の目のように複数のカメラで3次元(3D)の空間情報を解析し、障害物との距離を把握する。下水管の敷設場所を記した地図データとの組み合わせにより、GPSなしでも自動飛行が可能になるという。

下水管の内部点検は、作業員が中に入るほか、カメラを搭載した小型無人車を遠隔操作する方法がある。ただ、管内は有毒ガスが発生する危険性や降雨時に水位が上昇するなど作業上のリスクがある。また、小型無人車は水流への対処やケーブルをつないで操作するなど制約があり、利用できないケースも多かった。

ドローンはマンホールの下部を発着点とし、往復させることを想定している。リチウムイオン電池を10~20分で交換する必要があるため、1度の点検距離は数百メートル程度だが、水流を気にせず飛行できる利点がある。1日当たりの作業時間で換算すると5キロメートル以上の点検が可能という。

横浜市などの試算では、作業員が下水管の中に入る場合の点検距離は1日600メートルにとどまっており、作業効率や安全性の大幅向上が見込める。来年度まで実証実験を重ね、早ければ18年度からの実用化を目指す。

実証実験は横浜市の直径2~5メートルの下水管内で実施。ブルーイノベーションがドローンのシステム構築を、日水コンが下水管情報の解析を担当する。また、横浜国立大学は管内の風力の模擬実験設備の提供で協力する。

ブルーイノベーションは1999年に設立。利用目的に合ったドローンの導入支援やシステム開発を手掛けている。

全国の下水管の総延長は約46万キロメートル。うち1万キロメートルは1960年代以前の敷設で、耐用年数とされる50年を超えている。下水管の老朽化が原因とされる道路陥没は年間3千件以上発生しており、点検の重要性が高まっている。

(企業報道部 大平祐嗣)

[日経産業新聞9月14日付]

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